アンドルー・ロビンソン(Andrew Robinson)著、柴田譲治 訳『世界の科学者図鑑』 ( 原書房 ヴィジュアル歴史人物シリーズ)は、大型の本でボリュームもあるので、いかにも図鑑といった感じの本。
ここで紹介されている科学者は、
- ニコラウス・コペルニクスス 太陽系の発明
- ヨハネス・ケプラー 惑星連動を分析
- ガリレオ・ガリレイ 近代科学の礎を築く
- アイザック・ニュートン 運動の法則と重力の法則
- マイケル・ファラデー 電磁気学の独創的実験
- ジェームズ・クラーク・マクスウェル 光と輻射の電磁気的性質
- アルベルト・アインシュタイン 空間、時間、相対性の紙工実験
- エドウィン・パウエル・ハッブル 膨張する宇宙の天文学
- ジェームズ・ハットン 地球は安定な定常システム
- チャールズ・ライエル 現在の地球はその過去を解く鍵
- アレクサンダー・フォン・フンボルト 冒険心あふれる探検家で生態学のパイオニア
- アルフレッド・ヴェーゲナー 気象学者で大陸移動説の提唱者
- ロバート・ボイル 物質の性質にかんする実験研究
- アントワーヌ=ローラン・ド・ラヴォアジエ 近代化学の父
- ジョン・ドルトン 原子理論の発展
- ドミトリ・メンデレーエフ 周期律表を発明
- アウグスト・ケクレ 炭素鎖、ベンゼン環、化学構造
- ドロシー・クロウフット・ホジキン 複雑な生体分子の構造
- チャンドラセカール・ヴェンカタ・ラマン 分子物理学と理論光学
- マリー・キュリ一、ピエール・キュリー 放射能のパイオニア
- アーネスト・ラザフォード 原子核の秘密を解明
- ニールス・ポーア 量子論の第一人者
- ライナス・カール・ポーリング 構造化学の構築と平和活動
- エンリコ・フェルミ 原子爆弾の生みの親
- 湯川秀樹 日本初のノーベル賞受賞者
- カロルス・リンナエウス 自然界の名づけ親となった植物学者
- ヤン・インヘンホウス 光合成を発見した生理学者
- チャールズ・ダーウィン 自然選択による進化の理論
- グレゴール・メンデル 生物の遺伝法則と遺伝学の創始者
- ヤン・プルキニエ 視覚の研究者で神経科学のパイオニア
- サンティアゴ・ラモン・イ・カハール 脳の精密構造
- フランシス・クリック、ジェームズ・ワトソン DNA構造と生命の秘密の解明
- アンドレアス・ヴェサリウス ルネサンス時代の人体解剖学者
- ウィリアム・ハーヴェー 実験的手法にもとづき血液循環を発見した医師
- ルイ・バストウール 感染症治療の革命
- フランシス・ゴールトン 探検家、統計学者、心理学者で優生学の創始者
- ジークムント・フロイト 無意識の理論、精神分析の創始者
- アラン・チューリング 計算機科学と人工知能の創始者
- ジョン・フォン・ノイマン 電子計算機を設計した数学者
- ルイス・リーキ一、メアリー・リーキ一 人類の起源
高校の理科でおなじみの名前もあれば、あまり聞いたことがなかった人の名前も。我らが湯川秀樹博士も紹介されています。子供から大人まで楽しめるすばらしい本。それぞれのセクションでまず最初のページにその科学者の迫力のある写真(古い人は肖像画)がドーンと載せられていて、それだけでもうぐいっと引き込まれます。そして、単なる業績の紹介にとどまらず、その科学者の育った環境、人柄、当時の科学の進展具合、どうやって科学者になったのか、どうやって偉業を成し遂げたのかなどが実にバランス良く書かれています。図や写真がふんだんに盛り込まれていて当時の研究の現場がイメージできるくらいの臨場感があり、ページをめくるだけでワクワクします。こんな本が転がっている家だと、子供が科学者になりたいと絶対言い出しそう。是非、一家に一冊置いておきたい本。
原書タイトルは、”英雄的な科学者たちの大発見の物語”といったニュアンスだと思いますが、日本語タイトルの”科学者図鑑”というのもまた実にうまいネーミング。
書籍データ(原書房の書籍紹介ページ)
アンドルー・ロビンソン著、柴田譲治 訳『世界の科学者図鑑』 ( 原書房) ISBN978-4-562-04887-8 定価5800円+税 2013年4月25日第1刷
原書は、THE SCIENTISTS: An Epic of Discovery (2012 Thames & Hudson Ltd, London)