双対(そうつい)ベクトル空間とは?双対空間の双対空間は何?

以下、ベクトル解析30講(志賀浩二)の説明の一部です(数式の部分は省いています)。

Vをベクトル空間とする。VからRへの写像φで線形なものを考える。…このようなφをV上の線形関数ということにしよう。…重要なことはV上の2つの線形関数φ、ψがあたえられたとき、φとψの和とよばれる新しい線形関数φ+ψを定義できること、実数αに対して、スカラー積とよばれる新しい線形関数αφが定義できることである。…したがって、V上の線形関数全体の集合は、1つのベクトル空間をつくる。

【定義】V上の線形関数全体のつくるベクトル空間をVの双対ベクトル空間、あるいは簡単に双対空間といい、V*によって表す。

この教科書は、普通の日本語で説明されていてわかりやすいです。

ときわ台学(フジエダ電子出版のサイト)の説明もわかりやすそうです。

ベクトル空間V上の線形写像全体の集合はベクトル空間であり,これをVの双対ベクトル空間(または双対空間)V*といいます。やや抽象的な概念ですが基礎物理学(量子力学,素粒子論)から工学的な応用(散乱現象,線形応答)まで線形代数の関わるあらゆる分野に登場する重要な概念です。(ときわ台学)

ベクトル空間が与えられたときにその双対空間を考えることができ、双対空間もまたベクトル空間なので、双対空間の双対空間を考えることができます。双対空間の双対空間って一体何でしょうか?

双対空間および双対空間の双対空間の説明に関しては、物理のかぎしっぽの説明がとても詳しく、学習者の感情まで代弁してくれていて受け入れやすいです。

意味から言って,『双対の双対は自分自身』のはずですから,本当にそうなっているか,双対空間の双対空間,すなわち(V*)*  を考えてみましょう.線形汎関数の線形汎関数なんてややこしく聞こえますが,これはちょっと視点を変えるだけで済むことです.…V*の双対空間は Vだということが言えます.まさに,裏の裏は表,双対の関係になっています.… V*の元に対しては, Vの元の方が線形汎関数になっているということなのです.むう.『完全にお互い様』だったわけですね.視点の変換はつくづく大切です.ベクトル空間 Vは,例え個々の元にそんなつもりはなくても,双対空間V*から見れば線形汎関数という関数の集合だったのです!(物理のかぎしっぽ)

双対の双対は自分自身とあっさり述べていますが、双対空間の双対空間が自分自身になるというのは自分には全然自明ではありませんん。

物理学における双対性の話題

ええと,体K 上のベクトル空間V に対してV 上の線型関数全部を集めたものがまたベクトル空間になる,それをV の双対空間というんですよね.
…双対の双対は元の空間なんですか?そのとおり.V ∗ の双対空間(V ∗)∗ はV と線型同型になる (特集/双対性の世界 双対性をめぐる物理学対話 量子と古典,ミクロとマクロ 小嶋泉・谷村省吾 (PDF, 別冊・数理科学「双対性の世界— 諸分野に広がるデュアリティ・パラダイム」pp. 34-44 (サイエンス社, 2007年)/ 数理科学NO. 526, APRIL 2007)