今の大人に「鶴亀算って知ってる?」と聞いても、「なんですか、それ?」という返事しか返ってきません。鶴亀算は常識のレベルだと思っていた私としては大きなショックです。昔は、鶴亀算は小学校の教科書に載っていて、全員習ったのです。普通の公立の小学校(市立小学校)での話です。だから、日本国民は全員、つるかめ算ができるんだと勝手に信じ込んでいました。
こんな、頭の体操としては手頃な題材をなぜ、文科省は学校教育から捨ててしまったのでしょうか?「難しすぎて、わからない子供が多かったからじゃないですか?」という意見も聞かれますが、中学で習うxとかyとかを使った一次方程式の解法よりもはるかに直感的でわかりやすいと思います。
鶴亀算とは何かを知らない人のために一応説明しておくと、
問題:「ここに鶴と亀が合計14匹います。鶴と亀の足の合計は44本です。さて、鶴は何羽で、亀は何匹いるのでしょうか?」
という問題です。もちろん、鶴の足は2本、亀の足は4本という知識があることが大前提になります。一次方程式を使わない、つるかめ算の考えかたは、
仮に全てが亀だったとすると、足の数は4本x14匹=56本になるはず。ところが今、足の数は44本だということなので、56-44=12本が、数えすぎて余計だということ。この12本は、鶴を亀だと仮定してしたために増えた分なので、亀の足4本ー鶴の足2本=2本の差 であることを考慮して、12÷(2本)=6匹が鶴である。亀は14-6=8匹となります。
答え:鶴が6匹、亀は8匹
もちろん、全てが鶴だったと考えても同じ答えにたどりつきます。仮に全てが鶴だと考えると、そのときの足の数は2本x14匹=28本。今足の数は44本あるので、その差44-28=16本。この本数は亀から来ないといけないので、亀の足4本ー鶴の足2本=2本の差 で割り算してやって、16÷2=8 匹が亀。14-8=6匹が鶴。
ちなみに中学生ならx、yを使った連立方程式を立てれば解けます。
亀をx匹、鶴をy匹とすると、
足の数に関しては、4x + 2y=44 (式1)
頭数に関しては、 x + y = 14 (式2)
代入法で解くなら、式2より、y=14-x を式1に代入すると、
4x + 2(14-x)=44
展開すると 4x + 28 - 2x =44
整理すると、 2x=16
よって、x=8
式2より、y=6
と求まります。
小学校ではつるかめ算を教えなくなったにも拘らず、なぜか私立中学の入試問題では鶴亀算が当たり前のように出題されるらしいです。そのため、中学受験をする小学生は塾で勉強して準備せざるをえません。なんとも矛盾した話です。塾ではどう教えているのかというと、鶴亀算を図形の面積で考えるらしいです。そんな技法があるなんて、初めて知りました。中学入試ではx、yという文字を使うことはダメで、その図形の面積という難しいテクニックを使うことはOKというのは、なんだか矛盾した話です。どっちも正規の小学校の授業でやらない「テクニック」なのだから、どっちを使ってもいいのではないでしょうか。x、yを使うほうが、後の勉強につながる分、合理的だと思います。