アートとサイエンス

量子力学の定番の教科書

2018/05/13
 
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日本の高校物理では力学、電磁気学、熱力学、原子核など一通りやるわけですが、大学に入ると教養課程で量子力学が必修になります。何しろ目に見えないミクロの世界の話なので、直感的な理解がしづらくて、多くの学生が面食らうのではないかと思います。量子力学の教科書に関しても、教科書は一冊一冊が著者の意図を反映していて、非常に個性があります。無駄なく説明している教科書もあれば、懇切丁寧に言葉をふんだんに使って噛んで含めるような教え方のスタイルをとるものもあります。初めてそのトピックに触れるのかそれとも一度は聞いた話なのか、物理学がどれくらい得意かどうかで最適の教科書が人により異なるのは当然でしょう。

(以下、書名はアマゾンへのリンク、出版社名は出版社書籍紹介ページへのリンク)

朝永振一郎 量子力学 I 〔第2版〕 みすず書房 1969年

歴史的な流れを重視して、量子力学がどのような経緯を経て作り上げられてきたのかを語るスタイルの教科書として特徴があります。その語り口は非常にやわらかく親切で、初学者に優しい。序文(初版時の)には、”本書はあまり急がないで量子論を勉強しようとする初学者のために書かれたものである。”と明言されています。ここで、あまり急がないでと断りがあるのは、量子力学の理論をコンパクトに呈示するという方法をとらず、歴史の流れに沿った説明になっているためです。量子力学という全く新しい理論を学習者が受け入れるためには、なぜそれが必要になったのか、それがどれほど良いものなのかをまず納得したいので、歴史に沿った教科書というのは自然なスタイルだと思います。しかし本書の狙いは、実はもっと大きくて、将来理論物理学者を目指すような人は新しい理論がどのように作られてきたのかを学ぶことが重要であると著者は考えているのです。つまりこの教科書は、初学者にも、将来物理を職業としたい人にも、さらには趣味で量子力学を学び直したい人にも役立つのではないかと思います。量子力学Iの初版は1951年、第2版は1969年に発行されています。朝永の量子力学の教科書の難点は、ボリュームの大きさでしょうか。量子力学I,IIの2分冊ですが、遺稿に基づいて著された、「角運動量とスピン」もあわせると3巻にも及びます。しかし、新しい方程式や解釈の方法を天下りてきに与えられて鵜呑みにさせられるよりも、それらが、実は、天才的な閃きを持った多くの物理学者たちが試行錯誤した結果であるという歴史的な経緯を理解したほうが、学ぶ側としては断然受け入れやすくなります。

ファインマン物理学〈5〉量子力学 岩波書店 1986年

ファインマンの講義を受けているような気分で量子力学が学べる教科書。

David J. Griffiths Introduction to Quantum Mechanics 2nd Edition (2016)

アメリカおよび世界中の大学で採用されているで定番の量子力学への入門書。初版のPDFがネットにありますが、イントロの部分を読むだけでも量子力学がどのような学問なのか、どのような態度で勉強すればよいのかが書いてあって、とても興味をそそられます。

R. Shankar (著) Principles of Quantum Mechanics Second Edition Springer 2011年

ネットでPDF全文が読めます。このRamamurti Shankar(ラマムルティ・シャンカー)先生は、イェール大学の応用物理学科の先生で、YOUTUBEでも物理学の講義がいろいろ視聴できます。熱力学の授業を聴いたとき、その講義の明快さ、判りやすさに自分はびっくりしました。邦訳が早くでることが期待されます。日本での知名度は低いのかもしれませんが(アマゾンレビュー3件)、アメリカのアマゾンではレビューが100件もついていて、極めて高評価です。

19. Quantum Mechanics I: The key experiments and wave-particle duality


真面目にしゃべるのですが、ユーモアがあります。

小出昭一郎 量子力学 I (改訂版)裳華房 1990年

J.L.Martin 著、水野 幸夫 翻訳 量子力学 (オックスフォード物理学シリーズ (8))丸善(1984)

自分が学生時代に量子力学の教科書は何を買ったのかと思い起こしたら、この本でした。もう手元にありませんが。

砂川 重信 量子力学  (岩波書店 1991年)

基本概念から散乱理論,量子電磁気学などのやや進んだテーマまでを一貫した構想のもとに解説.要所要所に演習問題(解答付き)を配して,初学者が完璧に量子力学をマスターできるようにした.学部学生向き.(出版社による紹介)
レベル:入門書を終わらせた人の2冊目に 学部高学年あるいは修士課程大学院生向け 特徴:他書よりも計算過程が丁寧に詳述されていている 問題と丁寧な解答が随所にあって独学に向く  散乱の一般論が詳しい(アマゾンレビュー)

J.J.Sakurai,Jim Napolitano著 現代の量子力学(上) 第2版  吉岡書店 2014年

JJサクライの「現代の量子力学」は、手にしたことはないのですが、ネットの評判を読む限り、とても良さげな教科書。初版の刊行が1985年みたいですが、多くの物理学徒に熱烈に支持されている本です。”波動関数もシュレーディンガー方程式も与えられた仮定ではなく、全てが明確に提示された基礎概念から極めて自然に導かれている。”というスタイル。

シッフ子力学 (上)    吉岡書店 物理学叢書 (9) 井上 健 訳 1972年

猪木 慶治, 川合 光 共著 基礎量子力学  ( 講談社2007年)

出版社による内容紹介:問題演習を通して概念を理解する入門解説書。「量子力学I・II」の明快な解説で好評の著者コンビが書き下す新しい入門書。ていねいな解説と、豊富で精選された問題演習を通じて概念の理解が深まるよう配慮。

猪木 慶治, 川合 光 共著 量子力学I、量子力学Ⅱ 講談社 KS物理専門書 1994年

物理学科の学生、物理系の大学院に進む人はこの本で勉強する人が多いようです。大学の新入生や初学者が一冊目に選ぶには難しすぎるらしい。

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