竹内外史『線形代数と量子力学』

裳華房が出版している「基礎数学選書」のシリーズの24番目が、竹内外史 著『線形代数と量子力学』。「まえがき」によると、

本書は大学理系教養課程の線形代数の副読本であることを目的として書いてある.

読者対象は理系の初年度の大学生です。内容は、

目的にしたところは、ユニタリー作用素と自己共役作用素であるが,それを射影作用素を中心にして説明する方法をとっている.

ということで、数学者の書いた数学の本です。しかし、量子力学の教科書でもあります。

線形代数の一番よい応用は量子力学で,量子力学を勉強してみて初めて線形代数の概念の発生理由がわかることが多いので,この様に量子力学へ飛びこむことは線形代数の理解のためにも望ましいことと思う.

と、その理由を説明しています。全162ページの内容のうち、1ページ~63ページまでが第一章「線形空間Cnとその正規作用素」で、64ページから109ページまでが第二章「量子力学」です。110ページ162ページに、付録として「量子論理への誘い」が掲載されています。

線形代数と量子力学 (基礎数学選書 24)(amazon.co.jp)
基礎数学選書24 線形代数と量子力学  【復刊】 竹内外史 著(裳華房 書籍紹介ページ)

1981年3月
ISBN978-4-7853-1126-1 (旧ISBN4-7853-1126-6) (オンデマンド方式による印刷・製本)

【目 次】
1 線形空間Cnとその正規作用素
1.1 n次元複素ユークリッド空間Cn
1.2 正規作用素
1.3 自己共役作用素
1.4 ユニタリー作用素
1.5 可換な作用素
1.6 自己共役作用素の大小
1.7 正規作用素と複素数
1.8 正の自己共役作用素と部分等長作用素
1.9 テンソル積
1.10  置換
1.11  部分空間の束
1.12  エルゴード定理
1.13  線形作用素全体の空間
1.14  計量と半射影作用素の連続的変形

2 量子力学
2.1 スピン1/2の粒子
2.2 水素原子
2.3 運動量
2.4 角運動量
2.5 粒子と波動
2.6 フェルミ粒子とボーズ粒子
2.7 角運動量の和

付録 量子論理への誘い
1. 量子論理とはどんなものか
2. 直観論理と量子論理
3. 量子論理に基づく集合論と数学