物理学」カテゴリーアーカイブ

素粒子物理学の教科書

牧二郎・林浩一 素粒子物理

牧二郎・林浩一『素粒子物理』(パリティ物理学コース 牧二郎・長岡洋介・大槻義彦 編)丸善株式会社 1995年(平成7年)12月25日

標準模型の根拠をコンパクトに紹介したと前書きで著書が述べています。自分は大学の図書館で借りて読みましたが(ページをパラパラと見た程度)、すっきりとした構成で、素粒子物理を俯瞰できるように感じました。出版当時の理論物理学の立ち位置がわかるように書かれているように思います。一つ一つの説明が明解で、この教科書が絶版のままなのはもったいない。森に入り込んで迷うことがないように、森全体を常に見せてくれる教科書。

ちなみに著者の牧二郎博士は、坂田昌一・中川昌美とともにニュートリノ振動を理論的に予測した人だそうです(参照:ウィキペディア)。

戸塚 洋二 素粒子物理

戸塚 洋二『素粒子物理 』2000/10/13  岩波書店

戸塚博士は、1998年にスーパーカミオカンデによる測定により、ニュートリノ振動を確認し、ニュートリノの質量がゼロでないことを世界で初めて示した科学者(参照:ウィキペディア)。

原 康夫 素粒子物理学

原 康夫『素粒子物理学』 (裳華房テキストシリーズ・物理学) 2003/7/25

ファインマン・レクチャー

リチャード・P. ファインマン『素粒子物理学―ファインマン・レクチャー』1992/11/1  大学の講義録が書籍化されたもの。

コッティンガム, グリーンウッド 素粒子標準模型入門

W. N. コッティンガム, D. A. グリーンウッド『素粒子標準模型入門』樺沢 宇紀 翻訳 ‎ 丸善出版 2012年7月17日 原書はW. N. Cottingham and D. A. Greenwood, An Introduction to the Standard Model of Particle Physics, Cambridge University Press

  1. 《樺沢の訳書》No.7 素粒子論を通俗解説以上の水準で学びたい場合には、「場の量子論」の教科書に取り組まなければならないものと見なされてきた。(今も大勢はそうかもしれない。)この分野を専門的に学ぶ学生ならば、時間をかけてそうすればよいかもしれないが、これでは専門外の者が(理工系であっても)素粒子論の概要を学べるチャンスは事実上ないようなものだ。‥ しかし局所的ゲージ原理を指針として素粒子の標準理論のラグランジアンがどのように構築されているのか、(一般の理工系の学部学生程度の予備知識があれば、それなりに)きちんと納得できる構成になっている。‥ 素粒子の標準理論が一般の理工系学生にとって近づき難いものではなくなった

グリフィス素粒子物理学

David J. Griffiths 『グリフィス素粒子物理学』丸善出版 2019年9月

素粒子物理学、標準模型の標準的な教科書です。原書は、

David Griffiths Introduction to Elementary Particles (2008年)

アメリカでは標準的で人気のある教科書だそう。

湯川秀樹 編 素粒子論

岩波講座 現代物理学の基礎 第2版 10 素粒子論 1978年12月22日 発行 2900円

*この本の新装版が出ています。 素粒子論 (新装版 現代物理学の基礎 第10巻) 2012/4/25(アマゾン

執筆者 第I部 湯川秀樹、片山泰久、第II部 片山泰久、第III部 伊藤大介、第IV部 第9章~第12章 田中正、第13章 伊藤大介、第V部 湯川秀樹

第I部 素粒子 第1章 素粒子の発見 第2章 素粒子の論理

第II部 光・電子の理論 第3章 光・電子系の記述 第4章 光・電子系の減少 第5章 量子電気力学の諸問題

第III部 中間子・重粒子の理論 第6章 S行列の理論 第7章 ハミルトニアンの存在を仮定するS行列の理論 第8章 素粒子の対称性

第IV部 素粒子の構造 第9章 素粒子の複合模型 第10章 新自由度チャームおよび重レプトンの発見と素粒子模型の発展 第11章 非相対論的複合理論の適否とハドロンの対称性 第12章 素粒子の時空構造とLorentz群 第13章 弱い相互作用

第V部 素粒子の統一理論 第14章 素粒子のひろがり 第15章 素粒子と時空

684ページもある分厚い本です。第I部(3~66ページ)は素粒子の研究の歴史が述べられていて、数式が出てこないので自分でも読めました。この本全体を通してそうですが、理論物理学者たちの悪戦苦闘ぶりが生々しく説明されていて、確立した内容を淡々と述べる普通の教科書とは雰囲気が違います。それはこの全12巻からなる岩波講座の主旨を説明した「初版への序」にも書かれています。

12巻から成る本講座の前半、すなわち第1巻から始まる6巻においては、1930年ころまでに一応できあがっていた理論体系の叙述が主要な目的となっていた。これに対して、後半の第7巻から第12巻に至る各巻では、物理学内の諸分野、あるいはそれと境界を接する諸分野における1930年代以後の発展に重点が置かれることになった。したがって後半のどの巻でも、多かれ少なかれ、現在もまだ完全に解決されていない問題の提示と検討がなされていたが、その度合は巻によって相当ちがっていた。(以下略)1974年8月 湯川秀樹

新版が出ていますが(8580円)、1978年の本は中古だと1000円かそれ以下で売られています。

  1. 新装版 現代物理学の基礎 10 岩波書店 物質を構成する究極の要素としての素粒子を特徴づける統一理論が大変革した頃の,理論発展の軌跡を解説.704頁

川口正昭 素粒子論

川口正昭『素粒子論』(共立全書173)共立出版 1969年

西島和彦 相対論的量子力学

西島和彦『相対論的量子力学』(新物理学シリーズ13)培風館 1973年

参考

  1. 素粒子物理学入門: 理論で素粒子する 塚原壮平 九州大学附属図書館 素粒子理論は主に「場の量子論」という言語を使って記述されます。場の量子論とはミクロの世界を記述する量子力学と、高速で動く物体の運動を記述する特殊相対性理論を組み合わせた理論で、素粒子がどのように振舞うのか、どのように相互作用するのかを教えてくれます。ディラック方程式の解 場 ネーターの定理 反粒子 ファイマンダイアグラム
  2. 総合研究大学院大学 実験素粒子・原子核物理入門 加速器からの粒子ビームを用いた本格的な実験を行うのは大学院に進学してからになりますが、それまでに素粒子・原子核物理をどのように学べばよいかについてご案内します。‥ 量子力学をやらずに原子核・素粒子を勉強しようというのは時期尚早です。穴のあいたバケツに水を溜めるようなもので、効率的ではありません。
  3. 大学生・高専生のための 素粒子・原子核スクール サマーチャレンジ 2020