理系の一般読者向けの本から、学部レベル、大学院レベルの教科書まで。
リリアン・R・リーバー 著 数学は相対論を語る
『数学は相対論を語る』は、1936年に一般読者向けに書かれた相対論の教科書で、「相対論の基本的な概念と手法を明快かつビビッドに解説している。時間をかけずに相対論の本質をつかみたい人に、心からお勧めする。」(アルバート・アインシュタイン)というアインシュタイン本人の言葉が寄せられた本。この本がどんな読者を対象としているかについては、「はしがき」の言葉が端的に語っているので紹介する。
数学をまったく使わない相対論の「一般向け」の説明が、数多く書かれている。でもその中で一番優れているものでさえ、初学者に相対論がどんなものかについて十分な理解をあたえられているかどうか疑わしい。数学の言語で表現すればとても明快な事柄が、ふつうの言語では「神秘的」に聞こえるものだ。その一方で、アインシュタイン本人の論文など、専門家にしか理解できない説明もたくさんある。それら2種類の説明のどちらからもほとんど何も学べないような読者層がいると思う。数学をある程度知っていて、自分がはじめて接する分野の単純な数学的説明を追いかけそれを土台として考察を汲み上げて十分なだけ細部を理解し自分にとって一般向けと専門家向けの説明のあいだにある隙間を埋めることができる読者層だ。この本は、その種の読者の要求を満たすことを目指した。
リリアン・リーバーはロシア系アメリカ人の女性で、この教科書には夫でイラストレーターのヒュー・グレイ・リーバーが書いた挿絵がふんだんに挿入されています。とにかく、この本は特別です。教科書らしくありません。印象からすると、挿絵がたくさん入った詩集みたいです。しかし、数学の本です。テンソルとは何かという説明が非常に丁寧で、テンソルの演算、混合テンソル、縮約と微分、曲率テンソル、と数学的な準備を進めて一般相対性理論を解説します。これがパートII。パートIは特殊相対性理論の解説です。自分は図書館でたまたま見かけたこの本を借りて読み始めて、数学者が一般の人向けに解説すると、こんなわかりやすい説明が可能になるのかとびっくりしました。読者が落ちないように、とにかく丁寧に議論を進めていきます。リリアンさんのこの詩的なセンスとヒュー・グレイさんの力の抜けた挿絵に包まれて、リラックスした中で数学や物理を学ぶ幸せに浸ることができます。物理学史における相対論の意義についても非常にわかりやすく説明しています。
⇒ リリアン・R・リーバー 著『数学は相対論を語る』 水谷淳 訳 ソフトバンク・クリエイティブ2012年
石井 俊全 著 一般相対性理論を一歩一歩数式で理解する
一般相対性理論を一歩一歩数式で理解するもリーバーの著書と同じ発想で、一般読者向けですが数式で理解させる本です。
岡部 洋一 著 リーマン幾何学と相対性理論
岡部 洋一 著 リーマン幾何学と相対性理論 (2014年 プレアデス出版) (原稿PDF 著者のウェブサイト上):”重力のある空間で、自由落下しているエレベーターを考えると、その中では重力は感じられない。つまり、エレベータ内は慣性系(inertial system) になっている。このエレベーター内にいる人間は、自分が加速系にいて重力落下をしているのか、慣性系にいるのかを区別する方法はない。また、エレベーター内で等速度運動をしているどんな質量の物体も、外から見ると、すべて同じ加速度で落下しているように見える。つまり、重力とはこれら二つの系の座標変換の結果、現われてくる量であると考えたのである。エレベータの思考実験の結果、エベータ内では光も直線運動するはずである。ということは、重力のある系で観測すると、光も質量のある物質と同じように、放物線を描くことになる”(第6章 一般相対性理論 6,1 等価原理 より)
広江 克彦 著 趣味で相対論
広江 克彦 著 趣味で相対論 (2008年 理工図書):EMANの物理学 相対性理論が書籍化されたものです。
EMANの物理学 相対性理論 (ウェブブック):”独学で相対論の勉強をした人の中には、私の他にも不思議な体験をした人がいるかも知れない。 リーマン幾何学を長い時間かけて何とかコツコツと学んできた割には、相対論の公式はあっと言う間に記述できてしまう。 それで、そんなバカな、と思われるかもしれないが、それが結論だということに気付かずに通り過ぎてしまうのである。”(第4部 一般相対論の入り口 結論より始めよう より)
唐木田 健一 著 ひとりで学べる一般相対性理論
唐木田 健一 著 ひとりで学べる一般相対性理論 ディラックの記号法で宇宙の方程式を解く (2015年 講談社):「空間の曲がり」という基本概念から出発し、テンソルの計算手法をマスターしながら、腰をすえてじっくりと一般相対論を学ぶ。(商品説明より) ディラックの相対論の解説本。
ディラック 一般相対性理論
シュッツ 相対論入門
第2版 シュッツ 相対論入門 丸善2010年 Bernard Schultz, A First Course in General Relativity の邦訳。邦訳では、第2版 シュッツ 相対論入門 Ⅰとあわせた2分冊になっている。
内山 龍雄 一般相対性理論
内山 龍雄 著 一般相対性理論 (物理学選書 15) 裳華房 1978年
平川 浩正 相対論
復刊 相対論 第2版 東京大学理学部における著者の講義をもとにして、特殊ならびに一般相対論の理論の展開と実験による検証を述べ、
応用の分野として超高密度星・重力波・宇宙論の3つにおける主要な事項をまとめたものである。(初版 序 1970年)
須藤 靖 一般相対論入門
須藤 靖 著 一般相対論入門 日本評論社2005年