神経科学は、人工知能、心理学、生物学など様々な分野を包括するため、これ一冊で全てOKというものはありません。個人の興味により、脳をどのように理解したいのか、で学ぶべき教科書も変わってきます。
計算論的神経科学の教科書
甘利俊一 監修 『脳の計算論』
脳の計算論(シリーズ脳科学 1)は、2009年の刊行。大学・大学院レベルの計算論的神経科学の標準的な教科書を目指して書かれています。
川人光男『脳の計算理論』
脳の計算理論は、1996年の刊行です。まえがきによれば、著者が東大、阪大、北大、京大などで行った特別講義を踏まえて、計算論的神経科学者を育てることを意図して書かれたものだそうです。脳の生理学なデータに基づくモデルの構築、構築したモデルの実験による検証というアプローチが学べるように書かれています。
神経生理学の教科書
ニューロンの生物物理 第2版は、電気生理学のデータが理解できるようになる本。電気生理学を学ぶ学生だけでなく、電気生理学の論文を読んでデータの意味を理解したい研究者の助けになる本です。
神経科学の一般的な教科書
カンデル神経科学
神経科学の教科書で最も有名なものといえば、間違いなく挙げられるのがこの「カンデル神経科学」です。これを端から端まで読み通すのはかなり大変。大学や大学院で輪講するのがいいかもしれません。脳科学、神経科学の分野における常識を頭に入れるためには、カンデルを一通り読んでおくといいでしょう。