実践 ジャーナリスト養成講座 花田達朗・ニューズラボ研究会 編著 平凡社2004年

目次と、各々のチャプターやセクションの内容で自分の目に留まったことのメモ、ウェブ上で調べたことの補足。

第1章 ジャーナリズムへの誘い
第2章 基礎編

2ー1 記事の要件

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  • 基本的に、ジャーナリストが直接取材をしていない場合、取材内容が真実であると確認できていない場合には、取材源を明らかにする。” (p28)
  • 取材源を明かすことで、その取材源に身の危険が迫る場合や、非常に不利な立場に立たされてしまう場合には、取材したジャーナリスト個人の責任において取材源を秘匿すべきである。” (p29)
  • ジャーナリズムの客観性とは、あるジャーナリストが奇異で表現した内容について、第三者が検証しても同じ結果になる、とできないだろうか。” (p32)

2ー2 ニュースとは何か

ニュースの価値を決めるファクターとして、時間性(Timeliness),インパクト(Impact),著名性(Prominence),近接性(Proximity),対立・争い(Conflict),異常性・非日常性(The Unusual),はやり(Currency)、必要性(Necessity),人数や金額など規模の大きさ(Magnitude)の9つが挙げられています。このなかで面白いと思うのは、ニュースにも「はやり」があるというところで、火がついたり、下火になったり、過熱したりするといいます。一例として挙げられているのが、北朝鮮による日本人拉致問題。

  • 1977年~1980年ごろにかけて拉致が頻発
  • 1995年2月に朝日放送の報道プロデューサー石高健次氏が、拉致実行犯から事実を認める証言を引き出し、スクープとして報道。しかし、他社の報道で追従するものはなし。
  • 1997年2月 横田めぐみさん拉致事件を産経新聞や週刊誌AERAが報道し、国会でも取り上げられる。しかし、それ以上報道が盛んにならずに下火に。

2ー3 記事の形態
2ー4 記事の書き方

  • 見出し、リード(第一パラグラフ)、本文
  • 5W1Hを入れるのが基本。2行(60字程度)のリードのみの記事でも、5W1Hを凝縮させて含めることは可能。5W1Hの何を強調するかは、事件の性格などで変わってくる。
  • 「発生もの」と呼ばれる事件・事故の文例のパターン。いつ(When),どこで(Where),誰が(Who)が誰に、どのようにして(How)、どうされた(What)。動機は(Why)。
  • 本文のところには、Whyを詳しく書いたり、ニュースの意義付けなどを含めたり、補足したいことを膨らませて書く。

2ー5 よい記事・悪い記事

このセクションでは、わかりやすい日本語の文を書く方法が、悪い例、改善させた例とともに示されています。

2ー6 取材法
2ー7 インタビュー法
2ー8ー1 伝統的な情報検索・収集法
2ー8ー2 コンピュータ検索法
2ー8ー3 社会調査法・発想法
2ー8ー4 数字の見方・考え方
2ー8ー5 情報公開制度の活用

行政機関の不開示の決定に不服の場合は、行政機関に対して異議申し立てをすることができる。行政機関は第三者機関である情報公開審査会に諮問し、ここで非公開という決定が妥当かどうかの審議がおこなわれる。審査会からの答申を受けた行政機関は、あらためて、開示・不開示の決定をやり直すことになる。

第3章 実践各論編

3ー1 政治
3ー2 社会
3ー3 経済
3ー4 スポーツ報道
3ー5 学芸・家庭・くらし
3ー6 科学・医療・環境

  • 2003年11月 昭和大学医学部教授が発表した論文中の7人の症例のうち一人は実在しない患者だったという疑惑
  • 2003年3月13日 香港の病院で医師や看護婦40人以上が発熱、20人が肺炎になった病例に対して、世界保健機構(WHO)が警告を発する(特派員電)
  • 2000年 柴田鉄治『科学事件』岩波書店
  • 1999年 JCO臨界事故
  • 1997年 動燃東海再処理施設で事故
  • 1994年 柴田鉄治『科学報道』朝日新聞社
  • 1989年 ウォーレン・バーケット『科学は正しく伝えられているかーサイエンス・ジャーナリズム論』第2章「科学報道の歩み」 紀伊国屋書店
  • 1986年 旧ソ連でチェルノブイリ原発事故
  • 1979年 スリーマイル島炎発事故
  • 1969年7月20日16時10分 アポロ11号のニール・アームストロング船長とエドウィン・オルドリン宇宙飛行士の二人が人類初の月面着陸に成功
  • 1950年代~1960年代 子供向けアニメ 鉄腕アトム、スーパージェッター。原子力報道が国民に夢と希望を”ばら撒く”
  • 1957年10月 ソ連が初の人工衛星スプートニック1号を打ち上げ
  • 1957年8月日本原子力研究所第1号原子炉が臨界に達する
  • 1957年1月 南極に昭和基地を建設
  • 1957年 朝日新聞と毎日新聞が科学部を設置
  • 1956年5月 科学技術庁設立
  • 1956年 共同通信社が科学班を設置
  • 1955年 原子力基本法
  • 1954年 米軍が南太平洋ビキニ環礁で水爆実験を行い、第五福竜丸が被爆したことを読売新聞がスクープ。
  • アルバ・ジョンストン(Alva Johnston)ニューヨークタイムズ記者 1923年 科学報道としては初のピュリッツァー賞受賞。 The New  Yorkerの記事
  • ディビッド・ディーツ (1897–1984) David Dietz, who won a Pulitzer Prize for reporting in 1937 and was a longtime science writer for the Scripps-Howard Newspapers, died Sunday at the age of 87. He had suffered from Parkinson’s disease. (Obituaries). The new outline of science (1972 ISBN 13: 9780396065265)
  • ウィリアム・ランドルフ・ハースト(William Randolph Hearst 1863-1951)
  • ジョゼフ・ピュリッツァー (Joseph Pulitzer 1847-1911)。ピュリッツァー賞は彼を記念してできた賞。
  • 1869年 『ネーチャー』発刊(イギリス)。
  • 1880年 『サイエンス』発刊。トーマス・エディソンが資金提供。
  • 1845年 『サイエンティフィック・アメリカン』発刊。アメリカ合衆国の一般読者向け科学雑誌。1845年8月28日創刊で、一般向け科学雑誌としては世界最古、また現在定期刊行されているアメリカの雑誌としても最古(ウィキペディア)。
  • 18世紀 ベンジャミン・フランクリンが「ペンシルバニア・ガゼット」を発行
  • 1665年 英国王立協会事務所長ヘンリー・オルデンブルグが王立協会報「フィロソフィカル・トランザクション」を発行。
  • 1620年 フランシス・ベーコンが英国王立協会を設立

3ー7 地方支局
3ー8 海外支局
3ー9 写真
3ー10 整理・レイアウト
3ー11 世論調査
3ー12 調査報道
3ー13 パブリック・ジャーナリズム
3ー14 オンライン・ジャーナリズム

第4章 倫理と法

4ー1 記者の権利と義務
4ー2 現代ジャーナリズムの問題と課題
4ー3 ジャーナリストの倫理

この『実践 ジャーナリスト養成講座』という書籍は、いかにも教科書という纏め方で、入社したての新入社員に読ませるようなスタンスで書かれています。

 

参考

  1. 実践ジャーナリスト養成講座 花田達朗 編著 ニューズラボ研究会 編著 出版年月     2004/02 ISBN     9784582738292 平凡社 書籍紹介ウェブページ