量子化学の教科書を読んでいたら、分子振動のところで、まず最初に古典力学による定式化をして、次に、量子化するといって演算子で表示するように式を書き換えていました。量子論の作法に則って、みたいな能書きでした。なぜ、物理量が演算子を書けることになるのか、一番わかりにくいところだと思います。ChatGPTに訊いてみました。
*TEXの数式はあまりちゃんと表示されていないようですが、直し方がわかりません。
量子力学では物理量が演算子になる理由
量子力学で物理量が「演算子(オペレーター)」として扱われるのは、量子の状態を直接数値で表せないからです。
古典力学では、物理量(位置や運動量など)は「ある時点での値」として扱えますが、量子力学では「確率的にしか決まらない」という性質があります。
ポイント①:波動関数が物理状態を表す
量子系の状態は波動関数(Ψ)で記述されます。
波動関数自体は直接観測できる物理量ではなく、「状態の情報を持つ抽象的な関数」です。
- 物理量を知りたい場合は、「波動関数に何かしらの操作」をして結果を得る必要があります。
- その「操作」に相当するのが演算子です。
ポイント②:物理量を取り出すための仕組み
たとえば、ある量(位置 xx や運動量 pp )を測定する場合、その物理量に対応する演算子(位置演算子、運動量演算子 p^\hat{p} )を波動関数に作用させます。
例1:位置演算子
x^Ψ(x)=xΨ(x)\hat{x} \Psi(x) = x \Psi(x)
位置演算子は単に「xx を掛ける」ことに相当します。
例2:運動量演算子
運動量は空間に関する変化を表します。
p^Ψ(x)=−iℏddxΨ(x)\hat{p} \Psi(x) = -i \hbar \frac{d}{dx} \Psi(x)
運動量演算子は「波動関数を微分する」形で表されます。
ポイント③:測定結果は固有値問題として得られる
測定するときには、演算子の固有値が「実際の物理量」として得られます。
具体的には、以下のような「固有値方程式」を解きます。
A^Ψ=aΨ\hat{A} \Psi = a \Psi
ここで、
- A^\hat{A} は物理量に対応する演算子
- aa は測定値(固有値)
- Ψ\Psi はその測定値に対応する波動関数(固有関数)
なぜ演算子になるのか – 本質的な理由
物理量が演算子になるのは、「量子系では物理量が確定せず、状態として重ね合わせになっているから」です。
- 測定前は、複数の状態の重ね合わせが存在する。
- 測定時に、演算子が波動関数に作用し、特定の状態が選ばれます(波動関数の収縮)。
演算子は「どの状態がどの程度の重みで存在しているかを反映するツール」というイメージです。
まとめ
物理量が演算子になるのは、量子の状態が確率的にしか決まらないため、「波動関数に作用して結果を取り出す」という形式が必要だからです。
これは「測定=状態を変化させるプロセス」という量子力学の根本的な考え方に直結しています。
そういえば、学生時代に買った外国の量子力学の教科書には「オブザーバブル」(カタカナ)という言葉が出てきて、自分はそれが何かわからなくて困りました。大学の講義ではオブザーバブルなどという言葉は一切でてこなかったからです。
オブザーバブルとは物理量のこと
「オブザーバブル(observable)」は、量子力学において観測可能な物理量を指します。
今の説明の中では、**演算子(オペレーター)**がオブザーバブルに相当します。
もう少し噛み砕くと…
- オブザーバブルは「位置 xx、運動量 pp、エネルギー EE、角運動量 LL など、測定可能な量」のことです。
- 量子力学では、オブザーバブルは「演算子の形で記述される」のが特徴です。
具体例で説明
例えば、「位置」を測りたい場合、位置は古典力学ではただの数値です。
しかし、量子力学では「位置」というオブザーバブルは次のように表されます:
x^Ψ(x)=xΨ(x)\hat{x} \Psi(x) = x \Psi(x)
ここで、
- x^\hat{x} が位置オブザーバブルを表す位置演算子
- xx が測定結果
- Ψ(x)\Psi(x) が波動関数
同様に、「運動量」というオブザーバブルは次のようになります:
p^Ψ(x)=−iℏddxΨ(x)\hat{p} \Psi(x) = -i \hbar \frac{d}{dx} \Psi(x)
オブザーバブルの重要なポイント
- オブザーバブル=物理量を記述する演算子
- 測定(観測)する際に、そのオブザーバブルの固有値が「測定値」として得られる。
- 量子状態を表す波動関数に対して「オブザーバブル(演算子)を作用させる」ことで、物理量が取り出せる。
例:エネルギーのオブザーバブル
エネルギー(ハミルトニアン)もオブザーバブルです。
例えば、エネルギー演算子(ハミルトニアン)H^\hat{H} に対して次のような固有値方程式があります。
H^Ψ=EΨ\hat{H} \Psi = E \Psi
ここで、
- H^\hat{H} がエネルギーのオブザーバブル(演算子)
- EE が測定されるエネルギーの値(固有値)
まとめ
「オブザーバブル」は量子力学で観測される物理量のことで、
**数学的には「演算子」**として記述されます。
波動関数に演算子を作用させることで、物理量が測定可能になるという仕組みです。
「オブザーバブル」=物理量と考えて大丈夫です!
ただし、量子力学では「物理量」を直接数値で表すのではなく、**演算子(オペレーター)**として表現します。
オブザーバブル=量子力学における物理量
古典力学では、物理量(位置、速度、エネルギーなど)は「ある瞬間に具体的な数値」として扱いますが、量子力学では次のような違いがあります。
例)古典 vs 量子
- 古典力学:「位置 xx は3m」→ 位置は単なる数値
- 量子力学:「位置は x^\hat{x} という演算子で記述される」→ 測定するまで「位置」は確定しない
物理量とオブザーバブルの関係
- 位置、運動量、エネルギー、角運動量など、測定可能なすべての物理量はオブザーバブルです。
- 量子力学では「物理量を測る操作」が必要で、その操作を記述するのが**演算子(オブザーバブル)**です。
- **物理量 ≒ オブザーバブル(演算子)**という理解でOKです。
オブザーバブルの具体例
物理量(オブザーバブル) | 演算子の表記 | 役割・意味 |
---|---|---|
位置 xx | x^\hat{x} | 波動関数に xx をかける |
運動量 pp | p^=−iℏddx\hat{p} = -i \hbar \frac{d}{dx} | 微分操作を行う |
エネルギー EE | H^\hat{H} | シュレーディンガー方程式のハミルトニアン |
オブザーバブルを簡単に言うと…
- **「物理量を測定するためのルールや道具」**のようなものです。
- 波動関数を観測する際にオブザーバブルが使われ、測定値(固有値)が得られます。
- 物理量そのものと非常に近い概念ですが、「直接の数値ではなく、作用させることで測れるもの」という違いがあります。
まとめ
オブザーバブルは「量子力学における物理量」のことです。
古典力学の「物理量」とほぼ同じですが、量子の世界では演算子の形で記述される点が特徴的です。
演算子をかけると、物理量が「取り出される」ということの意味
「演算子をかけると物理量が取り出される」という表現は確かにわかりにくいですよね。
もっと具体的に説明すると、演算子を波動関数に作用させることで、その状態に対応する物理量を“測る” ということです。
直接「取り出す」というより、「測定プロセスを数式で表している」と考えるとしっくりくるかもしれません。
なぜ演算子をかけると物理量が得られるのか?
量子力学では、系の状態は波動関数 Ψ(x)\Psi(x) で表されますが、この波動関数自体は物理量の具体的な値を直接持っていません。
波動関数は「状態そのもの」であり、そこから物理量(位置、運動量、エネルギーなど)を測るには演算子を使う必要があります。
具体例で考えてみよう
例1:位置を測る場合
- 位置 xx という物理量に対応する演算子は x^Ψ(x)=xΨ(x)\hat{x} \Psi(x) = x \Psi(x) この場合、演算子 x^\hat{x} を作用させても波動関数に「ただ xx を掛けるだけ」 です。
つまり、「位置」は量子力学でも割とそのまま測れるイメージですね。
例2:運動量を測る場合
運動量は少し複雑で、演算子は次のようになります。
p^Ψ(x)=−iℏddxΨ(x)\hat{p} \Psi(x) = -i \hbar \frac{d}{dx} \Psi(x)
- これは「波動関数を空間で微分し、さらに −iℏ-i \hbar を掛ける」という操作を意味しています。
- 運動量は「波動関数の空間的な変化の度合い(勾配)」を測るイメージです。
物理的なイメージ
「演算子をかける」というのは、
- その状態が「どのくらいの値を持つか」を測るための数式的操作です。
- 例えるなら、波動関数が「量子の状態を描いた写真」だとして、演算子は「その写真の特定の部分を拡大したり、解析する道具」のようなものです。
- 拡大して見た結果(固有値)が、その状態での物理量の測定値になります。
では「取り出される」とはどういうことか?
演算子をかけることで、次のような方程式が成り立つ場合があります。
A^Ψ=aΨ\hat{A} \Psi = a \Psi
- ここで aa は測定される物理量(固有値)です。
- これは「その状態に対して測定を行った結果、物理量 aa が得られました」という状況を数学的に表したものです。
- 「取り出される」というのは、この固有値(測定値)が観測されるという意味なんです。
もう少し噛み砕いて
- 波動関数だけでは、物理量は直接わからない。
- **演算子を使って、波動関数から物理量を“引き出す”**というプロセスが必要。
- ただし、結果は「確率的」にしか決まらず、演算子を作用させると可能な測定結果とその確率がわかる。
- 観測すると「ひとつの値」に収束する(波動関数の収縮)。
まとめ
「演算子をかけると物理量が取り出される」とは、
- 「物理量を測定するための計算(操作)をして、測定結果を得る」
という意味です。
古典力学のように直接「測る」のではなく、「演算子で波動関数を解析して測定する」という違いが量子力学の特徴なんですね。
固有値(測定値)が観測される場合にいくつもある固有値のどれが観測されるのか
固有値が複数ある場合、どの固有値が観測されるかは「確率」で決まります。
これは量子力学の核心的な特徴であり、「測定するまでは物理量が確定しない」という考え方につながります。
仕組みの流れ
- 状態は波動関数 Ψ(x)\Psi(x) で表される
- 測定する物理量(オブザーバブル)に対応する演算子 A^\hat{A} がある
- A^\hat{A} の固有値が複数存在する場合、測定前は「どの固有値が得られるか」が確率的にしかわからない
数式で見ると
オブザーバブル A^\hat{A} の固有方程式は
A^ϕn=anϕn\hat{A} \phi_n = a_n \phi_n
- ana_n :固有値(測定値の候補)
- ϕn\phi_n :固有関数(各測定値に対応する波動関数)
波動関数 Ψ(x)\Psi(x) は、これら固有関数の重ね合わせとして表せます:
Ψ=c1ϕ1+c2ϕ2+c3ϕ3+…\Psi = c_1 \phi_1 + c_2 \phi_2 + c_3 \phi_3 + \dots
- cnc_n :固有関数に対する重み(係数)
測定したらどうなるの?
- 測定を行うと、固有値 ana_n のうちどれか1つが観測されます。
- どの固有値が得られるかは、係数 cnc_n に依存し、P(an)=∣cn∣2P(a_n) = |c_n|^2という式で確率が求まります。
- 確率 P(an)P(a_n) は、波動関数が測定時に各固有状態 ϕn\phi_n で観測される「可能性の高さ」を示します。
例:シュレーディンガーの猫
「生きている猫」と「死んでいる猫」が重ね合わさっている状態を考えます。
- 猫の状態 Ψ猫\Psi_{\text{猫}} は「生きている猫」と「死んでいる猫」の重ね合わせ状態です。
- 測定(箱を開ける)すると、「生きている」または「死んでいる」のどちらかが観測されます。
- どちらが観測されるかは、重ね合わせの比率(確率)によって決まります。
測定後の状態
- 測定後は波動関数が「測定結果に対応する状態」に収縮します。
- つまり、測定した瞬間に波動関数が「測定された固有関数」に切り替わります(波動関数の収縮)。
重要なポイント
- 測定前は「すべての可能性が共存」しています。
- 測定後は「1つの状態だけが残る」状態に切り替わります。
- これが**波動関数の収縮(コペンハーゲン解釈)**です。
結論
「どの固有値が観測されるのか?」は、
- 測定するまでは確定せず、確率的に決まる
- 測定後はその1つの値に状態が収束する
量子力学では、「物理量が測定されるまでは、複数の可能性が存在する」という世界観が重要なんです!
確率が低い固有値でもたまたま観測されたりもするんなら観測する意味がなくならないのか
量子力学では「観測値はたまたま決まる」ように見えます。確率が低い固有値が観測されることもありますし、何が得られるかは測定するまでわかりません。
でも、観測には十分な意味があります。
量子力学の測定は「たまたま」で片付くものではなく、確率的な傾向を持っています。この確率的な性質が、実験を重ねることで「確実なパターン」として浮かび上がってくるんです。
量子力学における「観測の意味」とは?
- 単発の測定はランダムでも、多数の測定で法則が見える
- たとえば「運動量を測る」という測定を1回だけ行った場合、観測される値は確率に従います。
- でも1000回測定すれば、高確率の固有値が多く現れるので、「どの状態が本質的に重要か」が見えてきます。
- これを**「統計的な予測」**といいます。
- 「たまたま」が支配するわけではない
- 確率が低い状態が観測されることはありますが、それはあくまで稀なケースです。
- もし1000回測定して、確率が低いはずの状態が頻繁に出たら、それは「測定のモデルが間違っている」ということになります。
- つまり、量子力学の理論が検証されるのです。
- 測定が系に影響を与える
- 量子系は観測することで波動関数が収縮し、状態が「確定」します。
- これは単に「測って終わり」ではなく、「測定によって系の状態が変わる」という非常に重要な特徴です。
- 測定によって系がどう変化するかを知ることは、量子力学を理解する上で欠かせません。
具体例:スリット実験
二重スリット実験では、電子や光子がスリットを通るときに「波のような振る舞い」をしますが、スリットを通過した電子の位置を観測すると「粒子」として検出されます。
- 観測しなければ干渉縞が見える
- 観測すれば粒子としてスリットのどちらかを通る
このように、「観測するかどうか」で結果が大きく変わります。
観測は単なる記録ではなく、「量子の性質そのものを変える行為」とも言えます。
もし観測しないとどうなる?
- 観測しなければ、波動関数は重ね合わせのまま存在します。
- 物理量は確定せず、「存在しているけどどの状態かわからない」状態が続きます。
- これは、世界を理解する上で曖昧さが残ることになります。
量子力学の観測は「たまたま」だけではない
- 確率が低い固有値が出ることもありますが、それは「全体の傾向の中の1つ」にすぎません。
- 重要なのは、多数回の観測で確実な傾向が現れ、法則が浮かび上がることです。
つまり、量子力学での観測は「1回1回が偶然」ではなく、「偶然が積み重なることで見えてくる確率的なルール」を探る行為です。
それこそが、自然の本質を知る鍵になるんです!