高橋 康 著 『理論物理のはなし』 日本評論社 2006年

プロの研究者はどういう道を辿ってプロの研究者になるのか?そんな疑問に答えてくれるのが、科学者が自分の研究遍歴を自分の言葉で語った本です。日本で学び、海外に出て武者修行をし、そのまま海外でジョブを得て、結局日本に戻ることなく引退するまで海外で研究を続けた理論物理学者が、おしゃべり口調で語る半世紀。執筆時の2005年は、日本を出てから52年なんだそうです。

著者の略歴は(7~8ページ)

  • 1948-1953 名古屋大学理学部物理教室
  • 1953-1954 アメリカ ニューヨーク州 ロチェスター大学
  • 1954-1955 カナダ オンタリオ州 オタワ 国立研究所
  • 1955-1957 アメリカ アイオワ州アイオワ州立大学
  • 1957-1968 アイルランド ダブリン高等科学研究所(教授)
  • 1968-1990 カナダ アルバータ州アルバータ大学 (教授) 現在、アルバータ大学名誉教授

この書籍の中には、物理の諸領域がカバーするトピックや、勉強方法、理解することの大変さなどについてところどころで言及しており、大学で物理学を学んでいて、森の中で迷ったような気になっている人には、多少の道しるべになるかもしれません。

物理学の勉強法

(15~16ページ)

  • 頭の中で解ったような気がしても駄目で、実際自分で手と紙を使って結果を再現してみなければならない。自動車の運転と同じで、手で学ぶ。
  • 複雑な計算を遂行したあと、それを言葉で表現できる必要がある。計算だけうまくなっても、その意味が解らなければ駄目。

 

本書に登場する数式、公式、理論

S = k log W

巨視的量エントロピーSと、微視適量である状態の数Wを結ぶ重要な式。ボルツマンの関係式と呼ばれる。(6ページ)

本書に登場する書籍

山内恭彦『一般力学』 日本における標準教科書

 

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