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視覚系の情報処理 心理学・神経科学・情報工学からのアプローチ 永野俊・梶真寿・森晃徳 著 

視覚系の情報処理~心理学・神経科学・情報工学からのアプローチ
永野俊・梶真寿・森晃徳 著 啓学出版 1993年10月15日発行 定価4200円 307ページ 
ISBN-10: 4766511891、ISBN-13: 978-4766511895
想定する読者:大学1,2年以上、また技術者の入門書として

目次
第I編 人間の視覚法則―視覚心理学 (森 晃徳)
第1章 序論
第2章 形態視
2.1 図と地
2.2 ゲシュタルトの法則
2.3 形態視 
2.3.1 静止網膜像
2.3.2 制限視野視
2.3.3 スリット視
2.4 形の無意識的創造
2.5 形態視における部分と全体
2.5.1 不可能な物体
2.5.2 存在しない矢と三角形の知覚
2.5.3 崩壊する漢字
第3章 空間視
3.1 心理的空間の分化
3.1.1 8秒間の世界
3.2 一度に見える空間の知覚
3.2.1 奥行き視の各種手がかり
3.2.2 輻輳角
3.2.3. 両眼非対応(両眼視差)
3.2.4 陰影
3.2.5 空間のゆがみ
3.3 認知地図
3.3.1 認知地図の構成要素
3.3.2 認知地図における魔法の数「7±2」
3.3.3 各種量子化現象
第4章 運動視
4.1 人間の動的視野情報処理
4.1.1 視覚的自己移動感覚
4.1.2 対象物の動きの知覚
4.2 運動視に関するニューロンのはたらき
4.3 コンピュータの動的視覚情報処理
4.3.1 自己移動状態の抽出
4.3.2 空間構造の抽出
4.4 まとめ
第5章 統合のメカニズム
5.1 多重表現と統合
5.1.1 全体の奥行き視における多重表現
5.1.2 相対的奥行きにおける多重表現
5.1.3 視野の多重表現
5.2 多次元表現
5.3 多種類表現
5.3.1 大きさと距離
5.3.2 全体表現と相対表現
5.4 並列的多重表現の意味
第6章 脳の情報表現・処理・記憶のモデル
6.1 上下前後左右脳の機能
6.2 視覚系の概略的モデル1
6.3 視覚系の概略的モデル2
6.3.1 認知Aと認知B
6.3.2 対象物の高次脳内表現の3つの仮説
6.3.3 記憶の3つの種類
6.4 視覚系の情報統合に関する計算モデル
6.4.1 ロングエッジ
6.5 まとめ
参考文献
第Ⅱ編 視覚系の構造と機能―神経科学(梶 真寿)
第1章 脳の構造と機能
1.1 脳の研究
1.1.1 研究の方法
1.1.2 脳機能の無侵襲計測法
1.2 脳の機能的局在
1.2.1 マクロな局在(機能地図)
1.2.2 ミクロな局在(機能カラム)
1.2.3 ニューロン
第2章 ニューロンの情報処理
2.1 神経伝導
2.2 神経伝達
2.3 ニューロンネットワーク
2.3.1 集束と発散
2.3.2 シナプスとニューロンネットワーク
第3章 特徴抽出と階層仮説
3.1 眼のはたらき
3.2 同心型受容野の情報処理
3.3 方位検出
3.4 端点の検出
3.5 運動の検出
3.6 奥行き(視差)の検出
3.7 階層仮説と並列処理
第4章 知覚と認識
4.1 連合野の機能
4.2 後頭連合野(視覚前野)
4.2.1 視覚第二野(V2)
4.2.2 MT野とMST野のニューロン
4.3 頭頂連合野と空間認識
4.4 側頭連合野と物体認識
4.5 顔ニューロン
4.6 色情報の処理
4.7 側頭連合野の短期記憶
4.8 海馬の場所ニューロン
第5章 記憶
5.1 記憶の神経生理的側面
5.2 幼児の神経回路の可塑性
5.2.1 刷り込み
5.2.2 方位検出ニューロンの形成
5.3 記憶のメカニズム
5.3.1 持続発火仮説
5.3.2 物質説
5.3.3 シナプス説
参考文献
第Ⅲ編 視覚系の情報処理モデル―情報工学(永野 俊)
第1章 ニューロンのモデル
1.1 ニューロンとは
1.2 可塑シナプス
1.3 ニューロンのモデル
1.3.1 線形モデル
1.3.2 閾素子モデル
1.3.3 アナログ出力モデル
1.3.4 Caianielloのニューロンモデル
1.3.5 分流型抑制機構をもつモデル
1.3.6 パルス出力型モデル
1.4 ニューロンモデルの学習
1.4.1 教師付き学習方法
1.4.2 教師なし学習方法
1.5 学習の収束性
1.5.1 誤り訂正法の収束性
1.5.2 δルールの収束性
1.5.3 Hebb型学習方法の能力
第2章 網膜のモデル
2.1 下等動物の網膜
2.2 後頭動物の網膜
2.2.1 平均的明るさの変動に対する不変性
2.2.2 神経節細胞のモデル
第3章 特徴抽出機構
3.1 HubelとWieselのモデル
3.2 運動方向選択性をもつニューロンのモデル
3.2.1 Barlowのモデル
3.2.2 心理現象を説明できるモデル
3.3 新しい神経科学的知見に基づくモデル
3.4 特徴抽出機構の自己形成
3.4.1 単純型細胞の自己形成
3.4.2 複雑型細胞の自己形成
第4章 パターン認識
4.1 パーセプトロン
4.1.1 3層パーセプトロン
4.1.2 4層パーセプトロン
4.1.3 総合結合パーセプトロンと帰還結合パーセプトロン
4.2 ネオコグニトロン
4.2.1 ネオコグニトロンの構造と動作の概要
4.2.2 Si層を構成するニューロン
4.2.3 ネオコグニトロンによる文字認識
4.3 大きさに不変なパターン認識
4.3.1 マルチチャネルと最大値検出回路
4.3.2 モデルの構造と動作
4.3.3 手書き文字の特徴抽出例
4.4 ART
4.4.1 ART1の基本構成
4.4.2 認識・探索プロセス
4.4.3 学習プロセス
4.4.4 動作例
第5章 高次情報処理
5.1 バックプロパゲーション学習
5.1.1 BP学習の原理
5.1.2 動作例 
5.2 連想記憶モデル
5.2.1 連想記憶モデルの原型
5.2.2 次空間パターンの連想
5.2.3 ホップフィールドモデル
5.2.4 多重連想モデル
5.2.5 連想記憶モデルの2,3の改良
5.3 ボルツマンマシン
5.3.1 モデルと動作原理
5.3.2 ボルツマンマシンによる図と地の分離
5.4 状況判断のできるニューラルネット
5.4.1 動作原理
5.4.2 学習法
5.4.3 動作例
参考文献
索引

アマゾン:視覚系の情報処理―心理学・神経科学・情報工学からのアプローチ

内容に関して:
視覚系の情報処理機構に関して3つの異なる学問分野からの視点で解説した野心的な試みの教科書。非常に大きなテーマを扱っているため個々のセクションの説明は非常に簡潔ではあるが、視覚情報処理の分野におけるさまざまな興味深い現象に関してどのようなアプローチ方法が試みられてきたのかを概観するには手頃な入門的教科書。