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Dirac方程式って何?

Dirac方程式という言葉をたまに耳にするのですが、それが何なのか全然知らないのでPerplexityに訊いてみました。

ディラック方程式は、相対論的量子力学における重要な基礎方程式です。以下にその主な特徴と意義をまとめます:

概要

ディラック方程式は、1928年にポール・ディラックによって導入された、フェルミ粒子(特に電子)の運動を記述する相対論的な波動方程式です。

特徴

  • 時間と空間の両方について1階の微分方程式である
  • 4成分の波動関数を用いる
  • 相対論の原理を満たし、ローレンツ変換に対して不変である
  • エネルギー、運動量、静止質量に関するアインシュタインの関係式を満たす

重要な帰結

  1. スピンの自然な導出: 電子のスピンが1/2であることが方程式から自然に導かれる
  2. 磁気モーメントの予言: 電子が1ボーア磁子の磁気モーメントを持つことを予言
  3. 反粒子の予言: 負のエネルギー解の存在から、後に陽電子として同定される反粒子の存在を予言
  4. 確率密度の正値性: クライン-ゴルドン方程式の問題点であった負の確率密度の問題を解決

歴史的意義

ディラック方程式は、量子力学と特殊相対性理論を統合する重要な一歩となりました。その後の場の量子論の発展にも大きな影響を与えています。ディラック方程式は、現代の素粒子物理学や量子場理論の基礎となる重要な方程式であり、その導入は物理学の歴史における画期的な出来事の一つと言えます。

なんとなく概観できたような気がする回答でした。本当は実際の方程式から、上で説明された重要な帰結を一つ一つ自分で導出する必要がありますが、別の機会に譲ることにします。

ディラックの方程式(数式)

ディラックの方程式は以下のように表されます:

$$i\hbar \frac{\partial \psi}{\partial t} = (-i\hbar c \boldsymbol{\alpha} \cdot \nabla + mc^2\beta)\psi$$

ここで:

$$\psi  は4成分の波動関数$$
$$\hbar  はプランク定数を2πで割ったもの$$
$$cは光速 $$
$$m は粒子(通常は電子)の静止質量 $$
$$\boldsymbol{\alpha} = (\alpha_1, \alpha_2, \alpha_3) と \beta は4×4のエルミート行列$$

これらの行列は以下の関係を満たします:

$$\alpha_i \alpha_j + \alpha_j \alpha_i = 2\delta_{ij}I$$
$$\alpha_i \beta + \beta \alpha_i = 0$$
$$\beta^2 = I$$

ここで $$I は4×4の単位行列、\delta_{ij} はクロネッカーのデルタ記号です。$$

この方程式は、相対論的な量子力学において電子などのスピン1/2の粒子の振る舞いを記述するために使用されます。

 

ディラック方程式における電子の表現

申し訳ありません。ディラック方程式における電子の表現について具体的に説明いたします。

ディラック方程式において、電子は波動関数 ψ によって表されます。この波動関数 ψ は4つの成分を持つスピノールで、以下のように表現されます:

$$\psi = \begin{pmatrix} \psi_1 \\ \psi_2 \\ \psi_3 \\ \psi_4 \end{pmatrix}$$

この4成分スピノールは以下の特徴を持ちます:

1. 電子の位置と運動量の情報を含んでいます。

2. 電子のスピンの状態も表現しています。上の2成分(ψ1, ψ2)が「スピンアップ」状態、下の2成分(ψ3, ψ4)が「スピンダウン」状態に対応します。

3. 各成分は複素数値の関数で、電子の存在確率密度はこれらの絶対値の二乗の和で与えられます。

つまり、ディラック方程式において電子そのものは、この4成分スピノール波動関数 ψ によって完全に記述されています。この波動関数の時間発展がディラック方程式によって決定され、それによって電子の運動が記述されるのです。

ディラック方程式における陽子の表現

陽子の場合、ディラック方程式は直接適用できません。陽子はクォークから構成される複合粒子であり、その内部構造はより複雑だからです。しかし、陽子の振る舞いを記述するためには、量子色力学(QCD)という理論が用いられます。陽子に関する重要なポイントは以下の通りです:

  1. 構造: 陽子は2つのアップクォークと1つのダウンクォークから構成されています。
  2. スピン: 陽子のスピンは1/2ですが、これは単純にクォークのスピンの合計ではありません。グルーオンや海クォークも寄与しています。
  3. 質量: 陽子の質量の大部分は、クォークの質量ではなく、強い相互作用のエネルギーに由来します。
  4. 相対論的効果: 陽子内部のクォークは非常に高速で運動しているため、相対論的効果が重要です。
  5. 量子色力学: 陽子内部のクォーク間の相互作用は、量子色力学によって記述されます。これは非線形で複雑な理論です。
  6. 形状因子: 陽子の電磁的性質は、形状因子を用いて記述されます。これは陽子が点粒子ではなく、内部構造を持つことを反映しています。

陽子の完全な理論的記述は、現代物理学の重要な研究課題の一つです。ディラック方程式のような単純な方程式ではなく、より複雑な場の量子論的アプローチが必要とされます。

 

間抜けな質問をPerplexityにしてしまいました。電子が内部構造を持たない「質点」なのに対して、陽子は内部構造を持つため(複数のクオークからなる)、そもそもディラックの方程式で記述できないんですね。

参考

  1. P. A. M. Dirac, “The Quantum Theory of the Electron“, Proceedings of the Royal Society A: Mathematical, Physical and Engineering Sciences, vol. 117, no. 778, pp. 610-624, 1928. DOI:10.1098/rspa.1928.0023