熱力学は本当に勉強しにくい学問分野だと思います。とにかくわかりにくい。抽象的すぎるのがその原因ですが、抽象度が高いということは逆にいうと応用が広いということでもあります。しかし人間ですから、やはり具体的な事例を触れながら学ぶほうが身に付きます。そのためには、熱力学の教科書を勉強するよりも、化学熱力学の教科書のほうが勉強に適しているような気がします。熱力学の教科書は通常、物理学の先生が書いているのに対して、化学熱力学の教科書は化学の先生によって書かれています。化学は物理の応用みたいなものですから、当然、熱力学が化学でどのように応用されているのかまでが内容に含まれます。そのほうが断然理解しやすいのです。
見える!使える!化学熱力学入門
わかりやすい熱力学の教科書と標準的な熱力学の教科書(大学レベル) でも紹介しましたが、
由井宏治『見える!使える!化学熱力学入門』オーム社 平成25年(2013年)8月25日
がとてもわかりやすく書かれています。
熱力学―現代的な視点から
田崎 晴明 『熱力学―現代的な視点から』 (新物理学シリーズ) 2000/4/12 培風館
熱力学の基礎 第2版
清水 明『熱力学の基礎 第2版』I: 熱力学の基本構造 II: 安定性・相転移・化学熱力学・重力場や量子論 2021/3/31 東京大学出版会
化学熱力学の基礎演習問題
香山 滉一郎『化学熱力学の基礎演習問題―解けばわかる化学熱力学の基礎』アグネ技術センター2002年
化学熱力学は、化学系および材料系学生にとって、物質が示す種々の現象を理解するために、学ばねばならない学問体系の一つである。本書は、ともすれば分かりにくいとされる化学熱力学を分かりやすく解いた『化学熱力学』の姉妹編であり、また前著『化学熱力学の基礎演習問題』の改訂版である。状態量の差を無理なく理解できる問題、問題に出された物質の変化の意味が容易に分かる問題、特殊な考え方をしない素直な問題など、化学熱力学の基礎的な問題を取り上げている。(アグネ技術センター 書籍案内より)
化学熱力学―演習によるアプローチ
ノーマン・スミス 『化学熱力学―演習によるアプローチ』東京化学同人1971年
原書は、Norman Smith CHEMICAL THERMODYNAMICS: A Problems Approach 1967