中学2年生が今、フレミングの左手の法則を学校でならってきたというのを聞いて、中学でそんな難しいことやってるんんだ!と驚いた。自分は中学はおろか、高校でもフレミングの法則というものをやった記憶がない。記憶がないというか、やっていないはずと思う。もちろん、フレミングの左手の法則やフレミングの右手の法則というものが世の中に存在することは見聞きしたことがあるが、なぜ自分が中高でやらなかったことなのに、いまは中学生がみな学校でやっているのか、不思議に思った。
確認するために、中学2年生の理科の教科書を開いてみたら、確かに、フレミングの左手の法則が載っていた。教育出版の「自然の探求 中学校 理科」平成29年度版である。いちおう、「ハローサイエンス 発展」というコラムの中で紹介されていたが。ていうか、モーターの原理も中2の理科でやるんんだ。自分は高校の物理でやった記憶があるが、中学でやった覚えはない。
なぜ中学理科で習う物理法則を自分は知らないのだろうと不思議に思って、山本義隆著「新・物理入門」を開いてみたが、どこにもフレミングの法則は右手も左手も載っていない。やっぱり、やってないよなあ、と思った。
なんだか不思議なのでネットで見てみたら、どうやらフレミングの法則は覚える必要がないから自分はやらなかったらしい。物理学というのは、最も根本的な原理だけ、仮定として受け入れて(丸呑みし)、あとはその原理から導き出すという態度なので、フレミングの法則が他の法則から導かれるのであれば覚える必要はないわけだ。
自分が知っている電気、磁気の法則といえば、「右ねじの法則」くらいである。これは、右手親指を電線を流れる電流の向きとしたときに、のこりの4本の指(まるまった状態で)が、その電線のまわりに生じる磁場の向き(同心円状)というわけだ。右ねじが進む方向が電流の向き、右ねじを回す方向が磁界の向き、といってもいい(だから右ねじの法則)。実は、右ねじの法則だけ知っていれば、フレミングの法則は右手も左手も必要ない。覚える必要はない。ちょっと考えると導きだせるので。それが、自分がフレミングの法則を知らない理由だということがわかって、納得できた。覚える必要がないものを覚えて、それがうろ覚えになったときには、間違える恐れのほうが大きいから。だいたい、右手の左手の両方の法則があると、どっちがどっちの手だったかわからなくなりそうである。大学入学試験のように緊張する場面ならなおさらのこと。
参考
- フレミングの法則は不要で、右ねじの法則だけで電磁気の問題が解けるというのが全く理解できません。 https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10128270535
- フレミング不要の法則 http://lineq.jp/note/44692/p/253433
- フレミング左手・右手の法則に手は不要?-ローレンツ力・磁界と電流・荷電粒子の相互作用で考える- http://www7b.biglobe.ne.jp/~jackriver2009/hattori_6-5_frame2.htm
- フレミングの法則を捨てて電磁気を正しく理解しよう http://www.pro.or.jp/~fuji/pasocomlife/2008-07-10.html
- 電流・磁界・力の関係をフレミングの左手の法則で覚えるのではなく、右ねじの法則から電流・磁界・力の方向を正しく導くようにすれば、中学生レベルの知識でモーターの回転する原理を十分理解できると考えられるので、そのような理解をさせるようにすることが重要である。https://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20171223003641.pdf?id=ART0007462882