マクマリーの化学、有機化学、生物有機化学の教科書

マクマリーは数多くの教科書を出しおり、カバーする範囲は化学、有機化学、生物有機化学に及びます。どの本にどんなことが書いていて、読者対象はどんな人なのか、邦訳書と原書とはどれがどれに対応するのかなど、かなり混乱させられるのでメモっておきます。

マクマリー一般化学

マクマリー一般化学(上)(下) 東京化学同人 2011年

下巻629ページ

著者:John McMurry, Robert C. Fay

原書:General Chemistry: Atoms First, 1st edition ISBN:0321571630 2010年 Pearson

挿絵や写真などがいかにもアメリカの教科書っぽいです。説明は平易かつ丁寧で、圧迫感がありません。『General Chemistry: Atoms First』は2013年に第2版が出ています。この邦書は第1版の翻訳。

下巻の最初を見たら、化学反応の平衡について基本的なことを驚くほど丁寧にわかりやすく解説していました。伝えたいことが明確で、伝え方も明快で、何が大事なポイントなのかがわかるので、読んでいて楽しい教科書です。

マクマリー一有機化学

マクマリー有機化学(上)第9版 東京化学同人 2017年

ちなみに第1版は1987年の発行。

原書タイトル:Organic Chemistry Ninth Edition by John McMurry

マクマリー一有機化学 問題の解き方

著者:S. McMurry この著者は、教科書の著者John McMurryの奥さんなのでしょうか。

マクマリー一有機化学 問題の解き方 928ページ 東京化学同人 ISBN:978-4-8079-0915-5 マクマリー有機化学第9版の本文中および章末のすべての練習問題に対する解説付きの解答

マクマリー一有機化学概説

Fundamentals of Organic Chemistry Seventh Edition

序 有機化学の半年間の短期コース向けに書かれたもの

マクマリー一生物有機化学 基礎化学編・有機化学編・生化学編

Fundamentals of General, Organic and Biological Chemistry (7th edition)

著者:John McMurry, David S. Ballantine, Carl A. Hoeger, Virginia E. Peterson

基礎化学編

有機化学編

生化学編

第4版(原書7版)(丸善出版)のまえがきに、

「原子とは?」から「私たちはどのようにしえグルコースからエネルギーを得ているのか?」まで、実にさまざまな化学を教えることは難問である。

と書かれていて、そうそうと思いました。大学の学部によっては高校生のときに生物や化学をほとんど勉強してこないまま入学してくる学生がいますので、原子とは?分子とは?化学結合とは?化学反応とは?から始めて、エネルギー代謝までを一つのコースで説明しなければなりません。

日本の生化学の教科書だと酵素の働きの章では必ずミカエリス・メンテンの式が紹介され、競合阻害や日競合阻害の際いグラフがどうなるかなども示されていることが多いようです。しかし、このマクマリーのっ教科書では概念は紹介していますがミカエリス・メンテンの式については全く紹介されていなくて驚きました。化学と日常生活とを関連付けることによって生化学の面白さを伝えることを重視した結果なのかなと思います。

マクマリー 生化学反応機構

東京化学同人 2018/3/28

生化学の教科書には書いていない細かい反応機構が詳述されています。酵素のアミノ酸残基の側鎖が酸や塩基として機能することなどの説明もあります。

正誤表

  1. マクマリー 生化学反応機構 正誤表 原著の間違いを補い,以下のように訂正致します. (2012 年 5 月 17 日現在)PDF 東京化学同人
  2. マクマリー生化学反応機構(3 刷 正誤表) (2016/8/3 作成)PDF 東京化学同人

マクマリー 生化学反応機構 第2版 2018年 第2刷202年6月10日 を自分は買って持っていますが、気付いた点をメモしておきます。

  • 100~101ページ 大腸 これは小腸が正しいと思います。ミスプリ?
  • 103ページ 大腸 これも小腸のはず ミスプリ?原著にあたっていないので、原著からなのか翻訳の過程からなのかは不明。