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イルカの泳ぎが、流体力学では説明がつかないくらいに速すぎる「グレイのパラドックス」

 
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イルカが非常に速く泳げることは、船とともに泳ぐイルカの観察によって、よく知られています。45~65km/h程度の速さも可能だそう(出典:ハンドイルカ ウィキペディア)。

Fast Swimming Dolphins by Newport Beach

イルカはどうしてこんなに速く泳げるのでしょうか?

イギリスの動物学者グレイ博士(Sir James Gray)は、イルカがなぜあれほど速く泳げるのかを流体力学で説明しようとしましたが、うまくいきませんでした。この論文では、イルカが船を追い越していったときに20ノット(=時速37km)で泳いでいたと計算しています。この論文は雑誌社が歴史的な論文として公開しており、下記のリンクからFrank E. Fish博士の解説と合わせて、全文が無料で読めます。

STUDIES IN ANIMAL LOCOMOTION
VI. THE PROPULSIVE POWERS OF THE DOLPHIN
BY J. GRAY

Journal of Experimental Biology 13:192–199 (1936).

イルカの”超”高速遊泳の説明は、長らく学者を悩ませてきました。

マグロやイルカなどある種の水棲動物は、その筋肉が発生するであろうパワーと、泳動時に体表面が受けるであろう流体抵抗の両者から推定される最高速度をはるかにしのぐ速度で泳動しているじじつがある。これは「グレイのパラドックス」または、「イルカの謎」と称され、まだ解決されていない。(出典:イルカに学ぶ流体力学 永井 實 1999年オーム社)

現在では、グレイの推測が間違っていた、パラドックスがそもそも存在しなかった、という形で解決を見ているようです(参考:Gray’s paradox Wikipedia)。2008年に、イルカが泳ぐ際の体の回りの水流を可視化する技術を用いて(動画のページ)、イルカが発生する力が計算されました。この研究によればグレイが予想したよりも10倍大きな力が出ていることが確認されたため、パラドックスはパラドックスでなくなったと言います。この技術は、デジタル粒子画像流速測定法(Digital Particle Image Velocimetry)と呼ばれるもの。

The short answer is that dolphins are simply much stronger than Gray or many other people ever imagined. (出典: ”Gray’s Paradox’ solved: Researchers discover secret of speedy dolphins 24-NOV-2008 Rensselaer Polytechnic Institute

このプレスリリースによれば2008年に学会発表されていますが(61st Annual Meeting of the APS Division of Fluid Dynamics)、論文になったのは2014年のようです。

Measurement of hydrodynamic force generation by swimming dolphins using bubble DPIV

Frank E. Fish, Paul Legac, Terrie M. Williams, Timothy Wei

Journal of Experimental Biology 2014 217: 252-260; doi: 10.1242/jeb.087924

参考記事

  1. Gray’s paradox (Wikipedia)
  2. PIVとは KATOKOKEN 粒子画像流速測定法(Particle Image Velocimetry, PIV)は、流れ場における多点の瞬時速度を非接触で得ることができる流体計測法です。流体に追従する粒子にレーザシートを照射し可視化、これをカメラで撮影しフレーム間の微小時間Δtにおける粒子の変位ベクトルΔxを画像処理により求め、流体の局所速度ベクトル v≅Δx/Δtを算出します(図1)。

 

参考文献

  1. Gray, J. (1936). Studies in animal locomotion VI. The propulsive powers of the dolphin. J.Exp. Biol. 13, 192-199. (PDF)
  2. JEB Classic A PORPOISE FOR POWER Frank E. Fish Journal of Experimental Biology 2005 208: 977-978; doi: 10.1242/jeb.01513  1936年のグレイの論文の紹介
  3. ‘Gray’s Paradox’ solved: Researchers discover secret of speedy dolphins New technology helps disprove 72-year-old scientific mystery Rensselaer Polytechnic Institute Public Release: 24-Nov-2008 EurekAlert!
  4. Frank E. Fish, Paul Legac, Terrie M. Williams, Timothy Wei. Measurement of hydrodynamic force generation by swimming dolphins using bubble DPIV. Journal of Experimental Biology 2014 217: 252-260; doi: 10.1242/jeb.087924
  5. Rahul Bale, Max Hao, Amneet Pal Singh Bhalla, Namrata Patel & Neelesh A. Patankar. Gray’s paradox: A fluid mechanical perspective. Scientific Reports 4, Article number: 5904 (2014) doi:10.1038/srep05904

 

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  1. What a Robo-Dolphin Can Teach Us About Real Ones  By David Hambling Oct 21, 2016 PopularMechanics.com 本物のイルカのようにジャンプするイルカロボットを製作(映像あり) 原著論文:Development of a Fast-Swimming Dolphin Robot Capable of Leaping  IEEE/ASME Transactions on Mechatronics Oct 2016;Volume 21 Issue 5 pages 2307-2316 DOI:10.1109/TMECH.2016.2572720 (無料論文要旨)
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