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L. ポーリング, E.B. ウィルソン Jr 量子力学入門:化学の土台 丸善2016年

 
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L. ポーリング,とE.B. ウィルソン Jrの共著による量子化学の教科書、『量子力学入門:化学の土台』(丸善 2016年)。丸善の説明によれば、『量子力学序論―および化学への応用』の新訳とのことで、新しく訳出したことに伴い日本語のタイトルもこのように変えられたようです。

これまであった版は、『量子力学序論および化学への応用』 (白水社 1965年、 桂井 富之助  訳 改訳版)でした。この初版は1960年((白水社 桂井 富之助  訳)に出ています。

原著は1935年の出版で、タイトルは、Introduction to Quantum Mechanics with Applications to Chemistry、著者はLinus Pauling(カリフォルニア工科大学化学科教授)、E. Bright Wilson,Jr.(ハーバード大学化学科准教授)です。タイトルで検索するとネット上にPDFが見つかることがあるので、英語でよければこれで勉強できますし、訳書を買う前に内容を確認することができます。

量子化学の教科書には水素の原子軌道の解が記載されていますが、多くの教科書ではその導出過程が長いため省略されてしまっています。これでは勉強になりません。その点、本書では水素の原子軌道を解く過程が省略なしに説明しており、学習者にとっては非常にありがたい教科書になっています。

量子力学入門:化学の土台の目次

1章 古典力学の整理
1. ニュートンの運動方程式:ラグランジュ形式
2. ハミルトン形式の運動方程式
3. 放射の放出と吸収
4. 章のまとめ

2章 古い量子論
5. 量子論の芽生え
6. 単純な系の量子化
7. 水素原子
8. 古い量子論の衰退

3章 シュレーディンガー方程式(1)一次元の調和振動子
9. 波動方程式と波動関数
10. 波動関数の意味
11. 調和振動子の波動力学

4章 シュレーディンガー方程式(2)三次元の粒子系
12. 粒子系の波動方程式
13. 自由粒子
14. 箱の中の粒子
15. デカルト座標でみた三次元調和振動子
16. 曲線座標
17. 円筒座標でみた三次元調和振動子

5章 シュレーディンガー方程式(3)水素原子
18. 方程式の解とエネルギー
19. ルジャンドル関数と球面調和関数
20. ラゲール多項式とラゲール陪関数
21. 水素原子の波動関数

6章 近似法(1)摂動論
22. 関数の級数展開
23. 一次摂動論:縮退がないとき
24. 一次摂動論:縮退があるとき
25. 二次摂動論

7章 近似法(2)変分法ほか
26. 変分法
27. ほかの近似法

8章 電子スピンとヘリウム原子
28. 電子スピン
29. ヘリウム原子とパウリの排他律

9章 多電子原子
30. スレーターの近似法
31. 単純な原子の変分計算
32. 自己無撞着場の方法
33. ほかの近似法

10章 分子の回転と振動
34. 電子と核の動きの分離
35. 二原子分子の回転と振動
36. 多原子分子の回転
37. 多原子分子の振動
38. 結晶内の分子回転

11章 時間を含む摂動論 ―― 放射の放出・吸収と共鳴現象
39. 時間を含む摂動
40. 放射の放出と吸収
41. 共鳴現象

12章 単純な分子とイオン
42. 水素分子イオン
43. 水素分子
44. ヘリウム分子イオン He2+ とHe-He原子間相互作用
45. 一電子結合、電子対結合、三電子結合

13章 複雑な分子
46. スレーターの方法

14章 ほかの応用
47. ファンデルワールス力
48. 波動関数の対称性
49. 量子統計力学
50. 反応の活性化エネルギー

15章 波動力学の周辺
51. 行列力学
52. 角運動量の性質
53. 不確定性原理
54. 変換論

 

参考ウェブサイト

「量子力学入門:化学の土台」量子力学で化学や物理を解き明かす力がつく。2016年10月発売 丸善

 

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