尾畑 伸明『集合・写像・数の体系 数学リテラシーとして』

集合の演算などの知識を復習したくて大学の講義ノートをネット上で探していたら、わかりやすいものに出会いました。

https://www.math.is.tohoku.ac.jp/~obata/student/subject/file/ (2018年のファイル)

書籍として刊行されていないかと思ってみたところ、

尾畑 伸明『集合・写像・数の体系 数学リテラシーとして』

という本になっていました。しかしPDFでは13章までしか公開されていないようです。とても説明がわかりやすくて気に入ったので本を買おうかと思ったのですが、残念なことに絶版のようです。しかも古書でも入手できなさそう。復刊してほしい。

尾畑 伸明『集合・写像・数の体系 数学リテラシーとして』 目次

  • 第1章 命題と論理
    • 1.1 命題と論理演算
    • 1.2 論理演算の基本法則
    • 1.3 推論
    • 1.4 述語論理
  • 第2章 集合
    • 2.1 集合と元
    • 2.2 集合の包含関係
    • 2.3 ラッセルのパラドックス
  • 第3章 集合の演算
    • 3.1 和集合と積集合
    • 3.2 差集合と補集合
    • 3.3 集合の公理
  • 第4章 写像
    • 4.1 写像の定義
    • 4.2 写像の演算と諸性質
    • 4.3 合成写像
    • 4.4 逆写像
    • 4.5 集合系
  • 第5章 同値関係
    • 5.1 関係
    • 5.2 同値関係
  • 第6章 有限集合
    • 6.1 元の個数
    • 6.2 和集合
    • 6.3 有限集合と写像
    • 6.4 直積集合
  • 第7章 可算集合
    • 7.1 濃度の等しい集合
    • 7.2 可算集合
    • 7.3 可算集合と写像
    • 7.4 可算集合の直積
  • 第8章 非可算集合
    • 8.1 実数の区間
    • 8.2 非可算集合
  • 第9章 濃度の比較
    • 9.1 濃度の比較
    • 9.2 カントル−ベルンシュタインの比較定理
  • 第10章 濃度の算法
    • 10.1 濃度の相等と大小
    • 10.2 濃度の和
    • 10.3 濃度の積
    • 10.4 濃度のべき
    • 10.5 可算濃度と連続体濃度
  • 第11章 選択公理
    • 11.1 集合系の直積
    • 11.2 選択公理
    • 11.3 可算集合の性質
    • 11.4 無限集合
  • 第12章 順序集合
    • 12.1 順序関係と順序集合
    • 12.2 順序同型
    • 12.3 ツォルンの補題
  • 第13章 整列集合
    • 13.1 整列集合
    • 13.2 整列集合の基本定理
    • 13.3 整列可能定理
  • 第14章 順序数
    • 14.1 順序型としての順序数
    • 14.2 順序数の演算
    • 14.3 順序数の定義
  • 第15章 自然数
    • 15.1 ペアノの公理
    • 15.2 ペアノの公理の完全性
    • 15.3 自然数の加法・乗法・順序
    • 15.4 自然数の構成
  • 第16章 整数・有理数・実数
    • 16.1 整数
    • 16.2 有理数
    • 16.3 実数

(引用元 https://honto.jp/netstore/pd-contents_0629549307.html)

この本のまえがきによれば、集合と写像は現代数学の基本的な言葉なのだそうです。抽象性が高いぶん、普遍性も高いのですが、そのために具体的な例がないと馴染みにくくとっつきにくい、なので後半部分では具体的な題材として数を構成するように本書を構成したのだそう。

自分は図書館で借りてようやくこの本を手にしたのですが、本書をみていたらこの本の構成って、自分が何十年も前、大学1年のときに受けた「論理学」の講義と同じ流れだということに気付きました。当時は正直言って何が面白いのか、というかいったい先生が何の講義をやっているのかもよくわからずに聴いていて、1学期もそろそろ終わるころになって自然数を集合によって構成してみせて、そのあとは有理数とか、多分実数まで一気に説明していたのような気がします。一学期のあいだまるまるかけて0の次が1であることの説明かよ?と、なんだか大変なことやってんなぁくらいの印象しか自分の中には残りませんでした。ペアノとかツェルメロ=フレンケルの公理系、ZF、ZFCといった言葉だけは、頭に残りましたが当時は何もわかっちゃいなかった。今、この本を読むと、ようやく面白味を感じることができます。手遅れと言えば手遅れですが、別にその後理数系(理論系)には進まなかったので、その後の人生で何も困りませんでした。そうは言ってもちゃんと数学や自然科学の土台を理解したいという願望だけは残っていて、そういう気持ちを満たしてくれる本なのでとても気に入っています。この本くらいに丁寧に説明してもらえると、理解できるような気がします。定理とか例とか問を見たら、その後の証明を見ずにまず自分で考えてみるようにすると、なるほど理解できたという実感が湧きます。自分の頭でなるべく考えるようにして本を読み進めると、抽象的な新しい概念を自分の脳の神経回路に新しく作っていっているような気分がして、面白いと思います。