分子遺伝学」カテゴリーアーカイブ

DNA複製の仕組み 岡崎フラグメント

DNAは相補的な2重鎖になっていますが、一体どのようにして複製されてるのでしょうか?解りやすい動画があったので紹介します。

  1. まずDNAの二重鎖にヘリカーゼ(Helicase)が結合し、一方向に移動しながら二重鎖をほどいていきます。解かれた部分は一重鎖になります。この動画では示されていませんが、実際には、別のヘリカーゼが結合して反対方向に向かって移動していくので、DNA複製は「両方向」に同時に起きます。
  2. DNA複製のメカニズムを理解するために押さえておくべき重要なこととして、DNAの1重鎖には「方向性」があるということです。DNAの鎖の部分は、「糖」がリン酸エステル結合により数珠状につながっていますが、糖を構成する炭素原子には1番~5番まで番号があり、3番と5番の位置の水酸基がリン酸エステル結合に使われています。なので、鎖の両端の糖は相手がいないわけなので、相手がいない状態にあるのが3番か5番かで、3’端、5’端と呼びあらわすことができ、方向性が区別できるわけです。
  3. もうひとつ、重要なことは、DNA複製を行なうメインとなる酵素はDNA合成酵素(DNA POLYMERASE)ですが、これは5’から3’の方向にむかってDNAの鎖をつなげていくことしかできないということです。つまり3’端があれば、そこにあらたな塩基をつけたすことができますが、5’端側にはつけたせません。
  4. すると、2重鎖のうちの一方に関しては、5’から53’方向になりますが、もう一方の鎖は、3’から5’方向になってしまい、DNA合成酵素がHELICASEがほどいた鎖をそのまま延々と合成していくということはできません。
  5. そこで生物はどうしているのかというと、ちょっとずつ、ちょっとずつ、局所的には5’から3’方向への伸長をつけたしていくわけです。この部分的に伸長された新しいDNAの短い鎖は、岡崎フラグメントと呼ばれます。このメカニズムの解明に貢献した岡崎令治博士(1930-1975)の名を冠したわけです。DNAの複製機構というめちゃくちゃ重要な生命現象の謎解きに、日本人研究者が貢献したというのは大変誇らしいことだと思います。

DNA Replication | Interactive Easy To Understand Animation and Discription.

 

大腸菌のDNA複製を開設したこの動画には役者(係わるタンパク質)がたくさん出てきますが、上の動画でおよそのストーリーを理解しておくと、とっつきやすいでしょう。
DNA Replication Animation – initiation, elongation and termination