解析学の演習書って何がお勧めなんでしょうか?”解析門前払い”の異名を持つ『解析入門』の著者である杉浦光夫先生を始めとする執筆陣の手による演習書なので、『解析演習』も入門希望者を蹴散らす本なのかなとビクビクしていました。しかし、本を手にとって中身をちらっと見てみたら、解析入門とは違った印象を受けました。
まえがきによれば、微積分の問題が解けるだけの実力をつけさせることが本書の目的で、そのための3つの柱として、「例題」、「実力問題」、「定義と定理をまとめた要項」の3つを考えそれらからこの本を構成したということです。この本をパラっとみて良いとおもったのは、この3つめの「定義と定理をまとめた要項」がとてもまとまっていること。『解析入門』を見ても何が重要なのかわかりにくかったのですが、『解析演習』の要項を眺めれば、解析学を概観できます。それだけでもこの本を手元に持っておく価値がありそうです。
この演習書の使い方に関してもアドバイスがあって、問題数が多いのを全部やる必要はないし、順番にやる必要もないと言っています。自分が学習したいトピックを探してそこの問題を解けばよいし、例題のあとに同じタイプの問題をいくつも掲載したが、もう解けるとわかったらそれ以上解かなくていいよと言っています。
初版は1989年。今でも出版されていて、ロングセラーです。