高校までは集合と言えば、モノを集めてひとまとめに考えたものといった定義でした。数学の授業の一部でしかなかったのです。しかし大学に入ると、そもそも数学の基礎に集合論があるというふうに、集合の位置づけが変わります。高校数学まではあまり疑問を持たずにきた実数といった数学の対象物であったものがなんでもかんでも集合として捉えられるわけです。
数学の歴史に集合が現れるのは19世紀の後半であり,それ以前の数学は集合を用いずに記述されていた.確かに,これまでに扱ってきた内容は連立1次方程式の解法や行列式の計算など式変形を主体とする数学であり,ことさらに集合概念を押し出す必要はなかった. ‥ 現代数学において集合を用いた表現が市民権を得たのは,その記法を用いると厳密に述べやすいことにつきる.(14 集合概念の基礎 嶺 幸太郎 神奈川大学工学部数学部会)
現代数学(1)では「数学的対象」はすべて集合と考える。集合は種々の数学的対象から諸特徴を取り除いていったときに残る共通部分のようなものである。(数学序論要綱 #5 河野 正晴 北見工業大学 情報システム工学科)
集合論の上に全数学が築かれることは常識であるのに,公理的集合論の授業は(とくに日本では)非常にすくない..(斎藤 正彦,数学の基礎 集合・数・位相,東京大学出版会 (2002). 前書き / 数学の基礎としての集合論 vs. 数学としての集合論 渕野 昌 神戸大学大学院 システム情報学研究科)