自分にとって理解しやすい説明をしてくれる大学の教科書

理系の学生が大学で学ぶべき基礎的な理数系の科目(物理、数学、化学)は、その内容が膨大でしかも概念が学生にとって新しく、抽象的で、難解なため、あっというまに落ちこぼれてしまいます。大学卒業後に、必要になってその知識を再度学習しようとしても、やはり難しいものは難しい、学生時代に理解できなかったものは今も理解できないという状況に陥りがち。

そのため、ドクターショッピングならぬ教科書ショッピングの遍歴を重ねることになり、自分の本棚には量子力学の教科書が5~6冊並んでいたりするのですが、頭の中はいっこうにアップデートされません。

何が問題かというと、自分の理解力のなさなのですが、そんな理解力のない頭の持ち主でも理解できるようにわかりやすく書かれた教科書がそうそう存在しないということが、自分にとっての問題なわけです。

ところが、そんな出来の悪い頭の持ち主向けに親切心マックスで書かれた教科書がなきにしもあらずなのです。それは10冊に一冊どころか100冊に一冊しかない稀有な存在なので、なかなか自力で見つけることは難しいでしょう。わかりやすく、かつ、自分の好みのスタイルでもある教科書を忘備録としてここに纏めておきます。

線形代数

金谷 健一『これなら分かる応用数学教室―最小二乗法からウェーブレットまで 』2003/6/1

線形代数の内容を網羅するわけではないのですが、ちょっとずつ抽象度を上げて、繰り返しを厭わずに説明がなされており、数学における抽象化の面白さが感じられました。自分はウェーブレットの手前までしか読んでいないのですが、それでも半分くらい読み進められた数学の本は初めてで感動しました。

熱力学

由井宏治『見える!使える!化学熱力学入門』オーム社

熱力学の本をまともに読んだためしがなかったのですが、この本はほぼ完全に読み切りました。章末問題もほとんどやりました(理解のための、簡単な内容です)。熱力学も抽象的な学問で、応用が見えないためすぐにくじけてしまうのですが、この教科書は熱力学でなく化学熱力学という題名の通り、化学への応用を前提に書かれた熱力学の教科書です。つまり応用への道筋が明確なのでモチベーションが維持できます。何よりも、順を追って論を進める感じが非常に強くて、勉強の流れを感じながら読めました。

 

数理統計学

その他のメモ

読んでいないけれどもわかりやすそうで気になる書籍のまとめ

山﨑勝義『詳説 物理化学Monographシリーズ 中』オンデマンド 2021/4/22

著者のウェブサイトでPDFが公開されていもいます。https://home.hiroshima-u.ac.jp/kyam/pages/results/monograph/