S.マックレーンの『数学ーその形式と機能』という本を見ていたら、圏論という言葉が出てきて、群論?旧字体か何か?と思ってしまいました。圏論(Category Theory)という新しい数学の領域のようです。
市立図書館に行ってみたら、圏論の教科書が何冊か置いてありました。そんなにメジャーな分野だなんて知りませんでした。
アマゾンのレビューをもとに 、「初心者向け⇒本格的なレベル」を考えてみると、
西郷甲矢人『圏論の道案内』⇒ Tom Leinster ベーシック圏論 ⇒ Steve Awodey 圏論 原著第2版 ⇒ S. マックレーン『圏論の基礎』 といった感じでしょうか。
高校生や科学の勉強を楽しみたい人向けのレベルから、数学科の学生向けのレベルまで、実に多様な種類の教科書があります。
圏論の道案内
西郷甲矢人『圏論の道案内』技術評論社 2019年8月22日
この本は初心者に優しい読み易い本でした。数学の本がすべてこれくらい読者に優しく書かれていればなあと思うほど。
数学のかんどころ 圏論入門
前原和壽『数学のかんどころ35 圏論入門』共立出版 2018年8月25日
Peter Smith
Category Theory A Gentle Introduction Peter Smith University of Cambridge Version of January 29, 2018 (301ページ PDF link)
大学の先生の執筆途上の教科書のPDFみたいです。圏論がそもそもなぜ必要なのかというところからわかりやすく説き起こしています。
Bartosz Milewski プログラマーのための圏論
Category Theory for Programmers Bartosz Milewski Version 0.1, September 2017(510ページ PDF)
Tom Leinster ベーシック圏論
Tom Leinster『ベーシック圏論 普遍性からの速習コース』 丸善出版 2017/1/29
⇒ Tom Leinster『ベーシック圏論 普遍性からの速習コース』(アマゾン)
本書(原書)のPDFはarxiv.orgにアップロードされていて自由に閲覧できます。
⇒ T O M L E I N S T E R Basic Category Theory (191ページPDF arxiv.org/)
Emily Riehl Category Theory in Context
Category Theory in Context (Aurora: Dover Modern Math Originals) Emily Riehl 2016/11/16
この本の無料PDFが著者のウェブサイト上ににあります。
⇒ Category Theory in Context by Emily Riehl(250ページPDF math.jhu.edu/~eriehl/)
Steve Awodey 圏論 原著第2版
スティーブ アウディ (Steve Awodey)『圏論 原著第2版』 共立出版 2015/9/19
原著Category Theoryのまえがきによれば、この本は著者がカーネギー大学のコンピューターサイエンス専攻の学生を対象とした講義に基づいて作られた教科書だそうです。ですから読者対象は数学科の学生に限らず、コンピュータサイエンス、あるいはもっと広い範囲の科学や哲学の学生向け。
圏論の歩き方
圏論の歩き方委員会『圏論の歩き方』日本評論社 2015年9月15日
これは雑然とした印象で、あまり系統立てて理解するための教科書のようには見えません。数学の雑誌の連載記事のようなノリの本。
S. マックレーン 圏論の基礎
S. マックレーン (Saunders MacLane) 『圏論の基礎』 丸善出版 2012/7/17
この本の原題はCategories for the Working Mathematicianです。「数学者のための圏論の教科書」となっていますので、プロの数学者や数学科の学生のための圏論の入門書なのだろうと思います。
⇒ Saunders MacLane『圏論の基礎』(アマゾン)
Harold Simmons An Introduction to Category Theory
Harold Simmons 著 An Introduction to Category Theory Cambridge University Press 2011/9/22
米アマゾンで非常に高評価な教科書。前書きを読むと、初年度の大学院生(おそらく数学科の)向けに書いたので広範な数学の知識は不要と書かれています。学部で学ぶことは国によってかなり異なるので日本の感覚からはズレるかもしれません。言葉を惜しみなく用いて、わかりやすく説明されています。日本の教科書だとあり得ないくらいのわかりやすい丁寧な説明。
インターネット上でPDFが入手可能です。
⇒ An Introduction to Category Theory by Harold Simmons(436ページPDF)
Conceptual Mathematics
Conceptual Mathematics: A first introduction to tcategories by F.William Lawvere and Stephen H. Schanuel 2009年
初版はネットにあります ⇒ Conceptual Mathematics (376 page PDF link)
導入部分が非常に丁寧。
Steve Awodey Category Theory
Category Theory Second Edition (Oxford Logic Guides 52) Steve Awodey著 2008/1/10 Oxford University Press, U.S.A.; 2版
第2版は原書の前書きによれば、第1版のタイプミスを直したり、間違いを正したり、学生のための練習問題をつけたりしたほか、monoidal catetoriesの章を新たに付け足したそうです。マクレーンの教科書があるのになぜわざわざ新たに圏論の教科書を書いたのか?がまえがきで説明されています。著者シカゴ大学大学院の数学科でマクレーンの講義を直接受けてその講義ノートが、この本の土台になっているのだそうです。しかし、著者はカーネギーメロン大学でコンピューターサイエンスの学生に圏論を教えるにあたり、やはり数学的な応用を志向した教科書だと学生のニーズに合わないため、数学の知識がそれほどない学生に合わせたものに書き直して本書ができあがったとのこと。
⇒ Steve Awodey Category Theory Second Edition(アマゾン)
Categories, Types, and Structures
Andrea Asperti, Giuseppe Longo著 Categories, Types, and Structures: An Introduction to Category Theory for the Working Computer Scientist (FOUNDATIONS OF COMPUTING SERIES) MITプレス August 23, 1991
本書は絶版になっていますがMITプレスの許可を得てネット上でPDFが公開されています。
⇒ Categories, Types, and Structures 300ページPDF
Bodo Pareigis
Bodo Pareigis (UNIVERSITY OF MUNICH MUNICH, GERMAN Y)著 CATEGORIES A ND FUNCTORS 197 0年AC AD E MIC PRESS
⇒ CATEGORIES A ND FUNCTORS(278ページ PDF)