わかりやすい統計学、特に、検定に関する本を探していて目についたのがこの『リハビリテーションのための統計学』。レイアウトが見やすいです。数学的な説明を一切しないという思い切りの良さのおかげで、非常にすっきりとしたわかりやすい、実践的な参考書になっています。唯一出てきた数式が、正規分布関数の式だけ。それも、べつに素通りしてOKです。リハビリテーションのためのと枕詞がついてはいますが、分野を問わず使えます。
結局、統計・検定の参考書を探している人の興味は、この実験データの検定方法は何を使えばいいの?ということに限ると思います。その点、『リハビリテーションのための統計学』はまさにそれだけに答える内容になっています。第3章の「解析の実際」に18個の分析法(検定方法)が例題とともに解説されていますので辞書的に使えます。その18個とは、
- 対応のないt検定
- Mann-Whitney検定
- 対応のあるt検定
- Wilcoxon符号付順位和検定,符号検定
- 一元配置分散分析
- Kruskal-Wallis検定
- 二元配置分散分析
- Friedman検定
- 多重比較検定
- χ2独立性の検定(2×2の分割表)
- Fisherの直接確率
- McNemar検定
- Mantel-Haenszel検定
- χ2独立性の検定(l×mの分割表)
- χ2適合度検定
- 相関
- 重回帰分析
- 多重ロジスティック回帰分析
これらの、各々が見開き2ページをつかってわかりやすく、すっきりと解説されています。
とりあえずこれだけ使いこなせれば十分ではないでしょうか。自分はどうも統計・検定が頭に入らず、あれこれ本を読み漁りましたが、この本には不思議なわかりやすさを感じます。87頁の薄い本で2800円(税別)というのは結構高いと思いますが、検定は使えてナンボですから、これで使えるようになるのなら安いのかもしれません。自分の書棚にはもっと厚くてもっと高くて眠っている統計学の本がいくつもありますので。
この本には数式は全くでてきませんし、統計ソフトの使い方も皆無です。いまどき、統計ソフトがあれば直ちに結果が出ますし人によって使うソフトもまちまちでしょうから、それを一切省いた構成にしたおかげですっきりとして、かえってよかったのかなと思います。統計学とか数学は一切いらないから、検定法の選び方で間違わずに、すぐに結果を出したい人向けの本です。検定方法の名前が頭の中にたくさんうかんでこんがらがっていて、頭を整理したい人にもおすすめ。
参考ウェブサイト
- リハビリテーションのための統計学(医歯薬出版)