法律の本を読むとやたらと何回な言葉が出てきます。法律用語であったり、普通の日本語なのに法律用語として特殊な意味で使われていたりします。自分の勉強のためにまとめておきます。一部、普通の日本語だけれども法律家が好んで使う言葉もあるかもしれません。
訴えなければ裁判なし うったえなければさいばんなし
英米法 えいべいほう 日本国憲法は英米法の流れを引き継ぐ。
客観訴訟 きゃっかんそしょう 適法性維持そのもの又は公共の利益保護のみを目的とする訴訟。民衆訴訟や、機関訴訟。 ⇔主観訴訟
救済 きゅうさい
行政事件 ぎょうせいじけん 訴訟物たる権利又は法律関係が公法上のものである事件。行政法規すなわち公法法規の適用に関する事件。
行政事件訴訟 ぎょうせいじけんそしょう 行政事件に関する訴訟。行政訴訟ともいう。民事訴訟に民事訴訟法(民訴法)が適用されるのに対し、行政事件訴訟には行政事件訴訟法(行訴法)が適用される。行政事件訴訟としては、4類型、すなわち、抗告訴訟、当事者訴訟、民衆訴訟、機関訴訟がある。抗告訴訟には、処分の取消しの訴え、裁決の取消しの訴え、無効等確認の訴え、不作為の違法確認の訴えの4つの類型がある。最初の2つは「取消訴訟」とよばれる。
行政事件訴訟法 ぎょうせいじけんそしょうほう 民訴法のようなそれ自体で完結した訴訟法とはなっていないため、法律に定めが無い事項に関しては民事訴訟の例によると規定されている。行政事件訴訟のうち、もっとも典型的で圧倒的に例数が多いのは、処分の取消しの訴えであるため、行訴法も取消訴訟を中心に規定している。
行政主体 ぎょうせいしゅたい 国や地方公共団体、行政上の権利義務(法的効果)の貴族する主体
行政処分 ぎょうせいしょぶん 行政行為ともいう。行政庁が法令に基づき公権力の行使として国民等に対し具体的規律を行う法的行為のこと。
行政訴訟 ぎょうせいそしょう 当事者は国家組織である行政機関と、行政作用を受けた相手方。民事事件とおなじく本人が訴訟を行うことが原則。行政事件訴訟ともいう。
行政庁 ぎょうせいちょう 行政主体の意志又は判断を決定し、これを国民等に対して表示する権限を有する行政機関。
行訴法 ぎょうそほう 行政事件訴訟法を短く略した言い方。
緊急避難 きんきゅうひなん
形成力 けいせいりょく 行政事件訴訟の判決が持つ効力であり、その処分は最初から存在しなかったという状態が作り出されること。形成力は訴訟当事者だけでなく第三者にも及ぶ。
刑事訴訟 けいじそしょう 一般国民である被告人と国家機関たる検察官が当事者となる。裁判の公平を実質的に確保・保障するため弁護人が原則的に必要。
権利利益 けんりりえき
抗告訴訟 こうこくそしょう 行政事件訴訟の類型のひとつ。行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟。
公定力 こうていりょく 行政処分が存在すると、だれであっても(相手側はもとより一般第三者も国家機関も)、それが取り消されるまでは、これを有効なものとしてあつかわなければならない効力。
裁判を受ける権利 さいばんをうけるけんり 憲法32条
債務名義 さいむめいぎ
恣意的権力 しいてきけんりょく 国家権力やさまざまな社会的勢力
恣意的な しいてきな 自由勝手な
執行力 しっこうりょく 裁判所の判断である判決がもつ強制力。民事執行法22条。行政庁が、判決などの執行名義を得ることなく、行政処分自体を根拠として、自力でその内容を強制し実現し得る効力。
実体法 じったいほう 紛争解決の基準となる法律。実体法を実現するのが手続法。実体法は、民法、詳報、会社法、借地借家法、消費者契約法、特定商取引法など、当事者間の権利関係自体を定める基準を集めた法律。
私法 しほう
主観訴訟 しゅかんそしょう 取消訴訟を始めとする抗告訴訟及び当事者訴訟は、いずれも、国民がその主観的な(自己の固有の)権利利益の救済を求めて提起する訴訟。ただし、そのほかに適法性維持機能も有する。 ⇔ 客観訴訟
釈明 しゃくめい 裁判所が、事件の事実関係や法律関係を明確にさせるため、当事者に対し、事実上又は法律上の事項について質問し、立証を促すこと(弁護士ドットコム)
職権主義 しょっけんしゅぎ
処分 しょぶん 国民の法律上の地位ないし権利義務関係に直接何らかの影響を及ぼす行為。
処分権主義 しょぶんけんしゅぎ 弁論主義ともいう。裁判所は中立的立場に立ち、余計な口出しをしないこと。例えばの話しとして、訴訟で200万円しか請求していなければ、500万円の領収書の証拠があったとしても、判決では200万円しか認めない。
処分性の問題 しょぶんせいのもんだい 行政庁の具体的な行為が処分にあたるかどうか。
処分の取消しの訴え しょぶんのとりけしのうったえ 行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為の取消しを求める訴訟。情報公開法に基づく不開示決定の取消訴訟等。処分取消しの訴えの対象となるのは、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」。 行政事件訴訟法第三条2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。(e-gov)
自力救済 じりききゅうさい 自らの尊厳や権利を守るための正当防衛などは例外的な自力救済として法的に認められている。
自力救済の禁止 じりききゅうさいのきんし 貸したお金を返さない知人のところに乗り込んでいって脅かしたりして無理やり返済させるような行為は、窃盗罪や恐喝罪という犯罪になるので、このようにトラブルを自分で力ずくで解決することはやってはいけないこと
相談料 そうだんりょう 弁護士と相談するときの費用30分5000円など
訴訟 そしょう 裁判所が法的な紛争について法律を適用し判断して紛争を公的に強制的に解決する法的手続き。
訴訟提起 そしょうていき
訴訟物 そしょうぶつ 民事訴訟法学上の基本概念の一つ。(狭義には、)裁判所がその存否を審理・判断すべき権利ないし法律関係のこと。処分取消の訴え(行政事件訴訟)においては、処分が違法であるか否かが裁判所によって審理、判断されるが、これを、当該処分の違法性が審判の対象(訴訟物)であるという言い方をする。
訴訟要件 そしょうようけん 訴えが裁判所によって適法なものとして取り上げられ、請求について実質的な審判を受けるために具備していなければならない要件。取消訴訟特有の訴訟要件として、処分性、原告適格、狭義の訴えの利益、被告適格、管轄、出訴期間、不服申立前置がある。
提起 ていき 訴えを提起する(裁判所に訴えること)
手続法 てつづきほう 実体法を実現するためのもの。実体法とは、法律関係それ自体の内容を定める法のことをいい、手続法とは、実体法が定める法律関係を実現するための手続を定める法のことをいう。民法、商法、刑法が前者の典型であり、民事訴訟法、刑事訴訟法が後者の典型である。(綜合法律ナビ)。よって、
当該 とうがい その。その問題となっている当の。該当するそれぞれの。
当事者主義 とうじしゃしゅぎ
当然無効の場合 とうぜんむこうのばあい 行政処分の違法が重大かつ明白である場合。
取消訴訟 とりけしそしょう 行政事件訴訟4類型のうちの一つである抗告訴訟、のなかの4つ類型のうちの処分の取消しの訴え、裁決の取消しの訴えというの2つの類型をまとめた呼び方。取消訴訟は、主として、行政処分の持つ公定力を排除し、国民(固有の利益を有する法主体)の権利利益の救済を図ることを目的とする訴訟のこと。取消訴訟においては、当該処分又は裁決の適法違法の審理が中心となり、審理の結果、違法であると判断されると、処分又は裁決は取り消され、これがもたらした違法が取り除かれることになる。取消し訴訟は、原告の主観的利益の保護に奉仕する機能とともに、客観的な法秩序の維持にも奉仕する機能(適法性維持機能)をも有する。取消訴訟は、行政法規の正しい適用を確保する訴訟、すなわち、行政法上の違法状態を除去し、行政法秩序を正す訴訟である。fillmore.jp(取消訴訟の要件 取消訴訟の審理)もわかりやすい。
認容 にんよう 行政事件訴訟で取消訴訟の場合、認容の判決は、処分または裁決の全部または一部を取消す判決のこと。、判決の意味としては、行政庁の行為が違法であり、処分の効力を否定するというもの。何かをさせるという効力はないが、関係行政庁は判決の趣旨に沿った措置を採る(改めて取消判決の趣旨に従った処分や裁決をする)必要がある(33条1項、2項、3項)。
判決の既判力 はんけつのきはんりょく 民事訴訟法114条、115条 判決が言い渡されると、当事者も第三者も繰り返し裁判を起こし再度蒸し返すことができないこと。訴えは却下される。
反射的効果 はんしゃてきこうか ひきかえ。たとえば、紛争解決権を国家に委託したのとひきかえに紛争解決権を放棄していることなど。
不可争力 ふかそうりょく 不服申立期間が経過し、又は不服申立手段が尽きると、もはや当該行政処分の高禄を争えなくなる効力
ブラクトン Henry de Bracton イギリスの法律家。「国王といえども神と法の下にある!」という言葉を残した人。
法の支配 ほうのしはい Rule of Law 自力救済禁止の思想的な背景をなすもの。Rule of Man, Rule o Powerなどに対応する概念。
法律構成 ほうりつこうせい
本人訴訟 ほんにんそしょう 弁護士を立てずに本人が行う訴訟。民事訴訟や行政訴訟では、刑事訴訟と異なり、本人訴訟が原則。憲法32条「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない」のなかの何人はもちろん弁護士でなく国民を指すわけであるから、本人が訴訟を起こすことは全然OKということ。弁護士に頼まないと訴訟が起こせないというわけでは全くない。民事訴訟法54条も本人訴訟を前提としている。
マグナカルタ
民事事件 みんじじけん 訴訟物たる権利又は法律関係が私法上のものである事件
民事訴訟 みんじそしょう 当事者が一般国民、私人で、その間の私的な法的紛争(お金の貸し借り、土地の明渡し、夫婦間の離婚等)を対象とする。
民訴法 みんそほう 民事訴訟法を略した言い方。
法律の勉強のやり方
- 法律の条文を覚える必要はない。なぜその法律が制定されたのかの理由、趣旨を理解することが重要。
- 法律は一般的に適用できるように抽象的な規定になっているので、解釈する必要がある。法律学は、解釈学と心得る。解釈は、法の趣旨に従って行う。体系的に理解することが大切。
- 法律の制度や趣旨は、かならず相矛盾する利益の対立の上に成り立っている。法の解釈は、この対立する2つを公平に配慮して、調和のもとに判断する。利益衡量という概念。法の制度や趣旨を理解するためには、対立する利益が何と何であるかに注目して理解すること。
- 民法の財産法は、権利者の保護(静的安全)と取引の安全(動的安全)に分けられる。
参考書籍
- よくわかる本人訴訟Q&A 裁判は自分でできる! 新銀座法律事務所編 法学書院 2010年
- 初めてでもわかる 行政訴訟マニュアル 行政事件訴訟実務研究会 編集 ぎょうせい 平成14年(2002年)