5次方程式の解の公式が存在しないことについて

2次方程式の解の公式は中学で学び、3次方程式、4次方程式の解の公式は存在するらしいことを高校で聞きますが、実際にどんなものかは考えたこともありませんでした。5次方程式以上は、解の公式は存在しないということを耳にしますが、これまたあまり気にもとめずに過ごしてきました。しかし、リリアン・リーバーの語り口が気に入って、著書を見ていたら、『ガロアと群論』が目に留まりました。

われわれは、やがて、
4次より高次の一般方程式は、
べき根によっては解きえないということが、
群論によって
どのように証明されたか、を
見るであろう。(ガロアと群論 リリアン・リーバー みすず書房)

ネット上にもいろいろと解説があったので、メモ。

これは,5次以上の方程式には,代数的に解くための解の公式が存在しないということを意味する.この結論を証明するために,ガロアは方程式そのものを考えず,方程式の背後に潜む群という集合を考えていった.これは現代流に言えば,「対象となる数学の内在的性質を探る」という手法の先駆けであるように思える.(PDF ガロア理論入門ノート(詳細)

Galois (1811–1832)の仕事はこの点をクリアにしたといえると私は考えます。それまで知られていた根の置換のアイデアを利用しつつ「正規部分群」という新しい概念を導入して,方程式の根が有理数とべき乗根で表せるための必要十分条件を発見したのです。(PDF 4次方程式と5次以上の方程式のGalois理論

5次以上の代数方程式の根の公式は存在しないが,個々の方程式の根を(四則演算と根号を用いて)具体的に表せる場合もある.フランスのガロア(Evariste Galois, 1811{1832)は1832年の遺稿の中で,与えられた方程式の根が四則演算と根号を用いて表示できるための必要十分条件を,方程式に付随した群(Galois群と呼ばれる)の性質を用いて与えた.(PDF ガロア理論入門(体と群と方程式)

以上は歴史的に「フェラーリの方法」とよばれる解法と本質的に同じである。 (PDF 4次方程式の代数的解法について

アーベルの「不可能の証明」に及ぼされたラグランジュとガウスの影響の考察 (高瀬 PDF)

五次方程式は、なぜ解けないのか?─プログラマのための数学勉強会3

高校生に5次方程式の解の公式が存在しないことを教える試み PDF

 ガロア理論の持っている深い思想は、現代の様々な科学に及んでいる。 わからないことを調べるときに、すでに良く知っていることと対比しながら理解していく。 その理解という行為がまさにガロアの対応なのだ。(中学生にもわかるガロア理論の試み

1 の三乗根の虚数の一つを w とおくと(普通はギリシャ文字のオメガ ω を使うが,入力が面倒なので w で代用する),
a3+b3+c3-3abc=(a+b+c)(a+wb+w2c)(a+w2b+wc)
となる,というものである。こんな公式,36年前の高校生は使いこなしていたのか?!(【高校数学のツボ】 因数分解と3次方程式の解の公式。

ここからさらに進んで、任意の方程式についての解の置換(=ガロア群)の性質を考察したのがガロアだった、という流れになる。(方程式からガロア理論

そして最後にガロアにいたる。彼が18歳のときにフランス科学学士院に投稿した論文は1回目は失われ,2回目に投稿した論文は拒否された。しかしながら,彼の論文はリウヴィルにより忘却のかなたに失われる前に救われたという事件は歴史に残る有名な逸話である。ガロアはこの論文の中で今日方程式のガロア群として知られているものを導入している。この群の概念はそれ以後の数学をすべて書き換えてしまうほど基本的であり,現在でもまだ影響を及ぼしつつある。この本の著者はその論文を忠実にたどり,群は原初のかたちとして方程式の群として出現したことを明らかにしている。(代数方程式のガロアの理論     Jean‐Pierre Tignol 著・新妻 弘訳 共立出版