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東大教師が新入生にすすめる本 2009-2015 (東京大学出版会 2016年)

『東大教師が新入生にすすめる本 2009-2015』(東京大学出版会 2016年)という本をぱらぱらとめくってみた。文系、理系ごちゃまぜで先生方が本を勧めているのだが、あまりピンとこなかった。もっと、専門家になるためには若いうちにこれを勉強しておけ!みたいな教科書を列挙してくれるのかと期待していたので、ちょっと違った。これなら、例えば物理学者を目指す学生なら物理の教官の勧める本のリストをもらうほうがいいだろう。

以下、いくつか自分が個人的に興味を持った本のメモ。推薦している教官著作もこの本では紹介されている。

  1. 古典力学の形成―ニュートンからラグランジュへ 山本 義隆 日本評論社 1997年:”これまで勉強してきた力学はどのような歴史を経てきたのかを知るのに最高の一冊”
  2. 微分方程式 東京大学応用物理学教室編 東京大学出版会 1960年:”工学で使われる微分方程式をほぼ網羅した古典的名著”
  3. 東大英単 東京大学教養学部英語部会 東京大学出版会 2009年
  4. Dynamics of One-Dimensional Quantum Systems: Inverse-Square Interaction Models. Yoshio Kuramoto, Yusuke Kato. Cambridge University Press2009年:”量子系の運動方程式であるシュレーディンガー方程式を厳密に解くことができる多粒子系は量子可積分系と呼ばれる。この「解ける系」の性質を徹底的に調べることによって、より一般的な量子系における物理的描像を引き出そうとする研究の流れを書いた”
  5. 吾妻鏡 新訂増補 国史大系 普及版 吉川弘文館:”鎌倉時代史の研究は吾鏡に始まり、吾鏡に終わる。ここはやはり頑張って、原文で読んでほしい。”
  6. 幾何学入門〈上〉〈下〉 H.S.M. コクセター(ちくま学芸文庫) 2009年
  7. 複素関数入門 (現代数学への入門) 神保道夫 岩波書店 2003年
  8. 解析力学と微分形式 (現代数学への入門) 深谷 賢治 岩波書店 2004年
  9. 生物進化を考える (岩波新書) 木村 資生 1988年:”生物進化に関心がある学生が最初に読む本として最適”
  10. 30日でできる! OS自作入門 川合 秀実 毎日コミュニケーションズ 2006年:”知識習得には、本を読むことだけではなく、実験によりその知識に触れてみることが重要です”
  11. CPUの創りかた 渡波 郁 毎日コミュニケーションズ 2003年
  12. 科学哲学 (1冊でわかるシリーズ) サミール オカーシャ 岩波書店 2008年
  13. 動物の系統分類と進化 (新・生命科学シリーズ) 藤田 敏彦 裳華房2010年:”最も新しい系統分類学の教科書。…動物の系統分類学を志す学生が最初に読むべき一冊。”
  14. 古生物学 速水 格 東京大学出版会 2009年:”日本の古生物学の発展のために尽力された速水 格東京大学名誉教授による教科書。…著者の哲学が感じられる。”
  15. 植物の生態: 生理機能を中心に (新・生命科学シリーズ) 寺島 一郎 裳華房 2013年:”物理や化学の知識を必要とする箇所では数式も使って正面突破を試みた。”
  16. 自殺論 (中公文庫) デュルケーム 中央公論社 1985年:”自殺は一見すると個人的事情によって生じる現象だが、それだけでは説明がつかないデータもある。これを「社会現象」と考えると辻褄が合ってしまうよ、という謎解きをする。”
  17. 水素を覗くと宇宙が見える J.S. リグデン シュプリンガーフェアラーク東京 2004年:”二十世紀の物理の進展を、水素原子という最も単純な原子にかかわる謎を解き明かす試みと捉えてわかりやすく説明”
  18. 熱力学の基礎  清水 明 東京大学出版会 2007年:”熱力学を支える論理体系をしっかりと基礎から説明”
  19. 数理統計学―データ解析の方法 竹内 啓 東洋経済新報社 1963年
  20. 入門 現代の数学(1) 非線形の現象と解析 〔数学セミナー増刊〕 山口昌哉 編集 日本評論社 1979年
  21. ナヴィエ‐ストークス方程式の数理 岡本 久 東京大学出版会 2009年:”初学者にも専門家にも有益”
  22. イーリアス ホメロス:”西洋の文学やら思想やらの起源はなんだかんだ言ってもすべて古代ギリシャに遡る。そのギリシア人たちは人生について学ぶべきことはすべて『イーリアス』に含まれていると考えていた。”
  23. フランス語とはどういう言語か 大橋 保夫 駿河台出版社 1993年
  24. 知の広場――図書館と自由  アントネッラ・アンニョリ  みすず書房 2011年:”著者はそういうイタリアの街で、図書館こそが互いに知らない人どうしが知的に交流するための公共空間を演出する場となりつつあると主張し、欧米の先例を紹介している。都市の成熟とはそういう装置を自ら作りあげることから始まるのである。”
  25. コミュニティのための図書館 アリステア ブラック、デーブ マディマン 東京大学出版会 2004年
  26. 方法 アルキメデス
  27. 線型代数学 足助 太郎 東京大学出版会 2012年:”基本的にはよく復習するための本である。あくまで一般論であるが、教養での数学については復習が大切で予習は無理にする必要はないと考える。学習熱心なのはすばらしいが、間違った予習をすると「変なフォーム」を身につけてしまいがちである。すると正しい論理構成・知識の習得が困難になる。”
  28. 特殊および一般相対性理論について アルバート アインシュタイン 白揚社 2004年:”発見者当人が著した原著論文と本にまさるものはない。”
  29. 統辞構造論 付『言語理論の論理構造』序論 (岩波文庫) ノーム・チョムスキー;福井 直樹, 辻子 美保子  翻訳 2014年:”二十世紀の「認知革命」の端緒を開く古典的傑作。”
  30. パパラギ はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集 エーリッヒ・ショイルマン 2009年 岡崎 照男 (翻訳)
  31. 法と国家 (UP選書 37) H.ケルゼン 著, 鵜飼信成 翻訳 東京大学出版会1969年
  32. ソクラテスの弁明 関西弁訳 プラトン (著), 北口裕康 (翻訳) パルコ 2009年
  33. バイオメカニクス-人体運動の力学と制御 原著第4版 David A. Winter (著), 長野 明紀 (翻訳), 吉岡 伸輔 (翻訳)  ラウンドフラット 2011年:”バイオメカにクス研究の世界的な教科書”
  34. 省察 (ちくま学芸文庫) ルネ デカルト 2006年:”一生に一度はすべてを根底から覆し、最初の基礎から新たに始めなければならない”
  35. 夜と霧――ドイツ強制収容所の体験記録  V.E.フランクル (著), 霜山 徳爾 (翻訳) みすず書房 1985年:”限界状況におかれた人間のふるまいから、人間とは何か、生きることの意味、を力強く教えてくれる不朽の名著”
  36. 大学数学の入門9 数値解析入門 齊藤 宣一  東京大学出版会 2012年
  37. プレートテクトニクスの拒絶と受容―戦後日本の地球科学史 泊 次郎 東京大学出版会 2008年