部分集合の像もまた部分集合になる すなわち A1 ⊂A2 ならばf(A1) ⊂ f(A2) であることの証明

像の定義

写像f:X→Yがあるとき、部分集合A ⊂ X に対して、fによるAの像f(A)の定義は、

f(A) ={f(x)|x ∈ A}

です。集合Aに属するあらゆる要素xの写像の行先であるf(x)からなる集合を像f(A)と呼ぶわけです。

A1 ⊂A2 ならばf(A1) ⊂ f(A2) であることの証明

A1 ⊂A2 ならばf(A1) ⊂ f(A2) であることは、集合の教科書に定理あるいは命題として必ず紹介されています。証明は容易なので証明が省略されている教科書もありますが、丁寧に証明が書かれている教科書もあります。しかし、その証明を読んでも数学が苦手な自分には今一つピンとこなかったので、自分で考えて細かく書き下してみました。一度わかってしまえば、非常に冗長な説明に思えますが、最初にわからなかった自分としてはここまで細かく書き出してみて、初めて自分で納得できました。

定理:A1 ⊂A2 ならば f(A1) ⊂ f(A2) が成り立つ

証明するまえに、像の定義の確認:

f(A1) や f(A2) は「像」(これは集合!)ですので、像の定義に従って書けば、

f(A1) ={f(x)|x ∈ A1}

A1のあらゆる要素xに関して、f(x)全体のことをf(A1)と書くというわけです。

また、

f(A2) ={f(x)|x ∈ A2}

A2のあらゆる要素xに関して、f(x)全体のことをf(A2)と書きます。

証明

さて、今,集合A1の一つの要素aを考えます。すなわちa∈ A1です。aの写像の行先をyと書くことにすると、像の定義より、yすなわちf(a)は集合f(A1)の要素になっています。記号で書くと、

y = f(a) ∈{f(x)|x ∈ A1} = f(A1) すっきりと書けばy = f(a) ∈ f(A1) です。・・・・・・(1)

また、像の定義より、f(A2) ={f(x)|x ∈ A2} ですが、

いま 「A1 ⊂A2 」という仮定がありますので a∈ A2 という条件を満たしており、

y = f(a) ∈{f(x)|x ∈ A2} = f(A2)  が言えます。つまりy = f(a) ∈f(A2)  ・・・・・・(2)

(1)と(2)より、y = f(a) ∈ f(A1)  であれば y = f(a) ∈ f(A2)   が言えました。最初に考えた、集合A1の一つの要素aは、実際には、集合A1のどの要素を選んでもいいというのもポイントです。

y ∈ f(A1)  であれば y ∈ f(A2)  というのは部分集合の定義そのものですから、f(A1) は f(A2) の部分集合です。記号で書けば、

f(A1) ⊂ f(A2)

と言えます。これで証明したい内容が証明できました。

証明の簡略版

上ではかなりダラダラと書いたので、もう少しスッキリさせてみます。

 

集合A1の一つの要素aを考える。すなわち、a∈ A1

像の定義により、aの写像の行先 f(a) は像 f(A1) の要素になっていることを記号で書くと、

f(a) ∈{f(x)|x ∈ A1} = f(A1) ・・・・・・(1)

A1 ⊂A2 という仮定から a∈ A2 が言えるので、像の定義を思い出すと、

f(a) ∈{f(x)|x ∈ A2} = f(A2)  ・・・・・・(2)

が言える。

(1)と(2)より、

f(a) ∈ f(A1)  であれば  f(a) ∈ f(A2)   が成り立つ

部分集合の定義を思いだせば、

f(A1) ⊂ f(A2)

が成り立つ。証明終わり。