力学系という言葉はなんとなくよく目にするのですが、一体それが何を意味するのか、力学とどう違うのか、長年曖昧なままにしてきました。力学系の英語はDynamical systemsで、あまり力学っぽくありません。力学系の教科書をパラパラとめくっても、そもそも力学系とは何かが書かれていなかったり(見つけられないだけ?)します。
世の中の現象を物理的に理解するためには必須の知識である力学系ですが、大学の授業にもそんな科目はなかったし、どんな教科書が標準的なのかもよく分かりません。物体の運動に関する理論すなわち力学は、まさに力学系の一例ですが、力学系といったときにはもっと広い意味で使われています。
微分方程式と力学系の理論入門
丹羽 敏雄『微分方程式と力学系の理論入門―非線形現象の解析にむけて』 増補版2004/10/1 遊星社(発行)星雲社(販売) *初版は1988年
この本は絶版みたいですが、この本が一番、力学系とは何かという説明が丁寧に導入されていると思いました。物理(力学)、化学、生物における力学系の例を紹介して、それから数学的な定義を与えています。著者は数学者なので、数学の香りはしますが、数学の本ではなく読み易いです。説明の仕方が、上から俯瞰するようにされていて、頭の中が整理されやすいと思います。
数学者が書いた力学系の教科書は多分1行も自分は読めないと思いますが、この本なら読む気がします。自分は図書館で見つけたのですが、こんないい本が絶版だなんて本当にもったいないと思います。
力学系の基礎
國府寛司『力学系の基礎』。付録にルベーグ測度の説明が1ページでなされていました。被覆とかもちろん準備段階でしているべき概念はありますが、こんなに簡潔に説明されていることに驚きました。また、1次元の例が紹介されていました。
力学系
丹羽 敏雄『力学系』 (紀伊國屋数学叢書 21)
非線形の力学系とカオス
S. ウィギンス (Stephen Wiggins)『非線形の力学系とカオス』