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大学レベルの統計学の教科書 定番・お勧め

統計学実践ワークブック

統計学は守備範囲が広いため、これ一冊で全部網羅しているという教科書はなかなか見当たりません。そんな中にあって、一冊でこんなに網羅的なのという本が、『統計検定準一級対応 統計学実践ワークブック』(学術図書出版社 2020年05月)です。統計検定を受験する人むけに書かれていますが、多様なトピックが非常にコンパクトにまとまっています。初学者がこれで学ぶのはツラいと思いますが、少ないページ数で簡潔なわりには案外、理解しやすくわかりやすく説明してくれています。実験データの統計学的検定をしたい人向けに、数学抜きの統計の教科書が巷に多数でまわっていますが、それらを読んでいてピンとこないときに、この本に立ち返るとナルホドと思うことがありました。また、他の本で長々と説明されていたことがわずか数行で簡潔にしかし過不足なく説明されていたりもします。もちろん紙面が限られているため、抜粋的ではありますが、要点が何かがわかる構成になっているところが大変ありがたいです。 統計検定受験対策本なので例題も豊富で、例題のおかげで習うより慣れろの勉強法が可能になっています。目次を見ると、トピックの広さに驚かされます。統計の実務家を養成するのが統計検定の目的だと思いますので、扱うトピックも実際の応用が明確なものばかりで、勉強するモチベーションが起きやすいと思います。

目次 1 事象と確率 2 確率分布と母関数 3 分布の特性値 4 変数変換 5 離散型分布 6 連続型分布と標本分布 7 極限定理,漸近理論 8 統計的推定の基礎 9 区間推定 10 検定の基礎と検定法の導出 11 正規分布に関する検定 12 一般の分布に関する検定法 13 ノンパラメトリック法 14 マルコフ連鎖 15 確率過程の基礎 16 重回帰分析 17 回帰診断法 18 質的回帰 19 回帰分析その他 20 分散分析と実験計画法 21 標本調査法 22 主成分分析 23 判別分析 24 クラスター分析 25 因子分析・グラフィカルモデル 26 その他の多変量解析手法 27 時系列解析 28 分割表 29 不完全データの統計処理 30 モデル選択 31 ベイズ法 32 シミュレーション

この本は、大学生が統計学の授業をフォローするために読むためというよりも、統計や検定を仕事で使う必要がある社会人が、ある程度しっかりしか教科書を探している場合にお勧めできる本です。

現代数理統計学の基礎

久保川 達也『現代数理統計学の基礎 』(共立講座 数学の魅力 共立出版 2017/4/7 ) 。準一級対策本を上で紹介したなりゆきで、統計検定一級の対策本も紹介。といってもアマゾンでみながそう言っている本というだけなのですが。自分にはレベルが高すぎて、判断がつきません。

 

大学レベルの統計学・確率論と言っても千差万別で、統計学の専門家になるための教科書(もしくは理数系の大学3,4年レベル)は自分の理解を超えていますが、いくつか気になった本を紹介します。

現代数理統計学

竹村 彰通 新装改訂版 『現代数理統計学』 (学術図書出版社 2020/11/10)

統計学への確率論、その先へ

清水泰隆『統計学への確率論,その先へ 第2版 ゼロからの測度論的理解と漸近理論への架け橋』

測度論(ルベーグ積分)に基づいた確率論・統計学の教科書だそう。まえがきに、この本がどんな本なのか紹介されています。

測度論をベー スにした本格的な確率論の知識が必須であり,いわゆる「測度論的確率論」という現代確率論を知らなければ,それらの統計理論の本質を理解することはで きない.しかし,「測度論」→「確率論」→「統計学」のような手順を踏んでい くには時間がかかる. 本書は,本格的な数理統計学を目標とする読者向けに,特に統計学で重要と なる事柄に重点をおき,速習的に確率論を学ぶことができる学部生向け教科書 を目指した.

ちなみに本書の執筆のキッカケは、早稲田大学基幹理工学部・応用数理学科における3年生向けの通年講義「確率統計概論」を著者が担当したことだそうです。つまりは、そのレベルの内容ということです。

はじめての確率論 測度から確率へ

測度論による確率論、そして統計学という流れで書かれた教科書で、初心者向けに書かれた本、佐藤 坦 『はじめての確率論 測度から確率へ』(共立出版 1994/2/25 )。