久保亮五編大学演習熱学・統計力学第1章例題[1]磁化を生じるために電源がする仕事

物理の問題なんだけど、わかる?:磁性体をコイルの中に入れ、コイルに電流を通して磁場を作り、磁性体を磁化させる。磁性体内で磁場Hおよび磁化Mは一様であるとする。磁化を生ぜしめるために電源がしなければならない仕事は、磁性体の単位体積あたり、どんな式で書き表されるか?ただし、磁化によって磁性体は変形しないものとする。

ChatGPT 4o:

そもそも磁化とは

## 🔷 磁化を生じさせるための仕事の導出(Simple MathJax対応)

### 🔹 磁化とは?

磁化 $\mathbf{M}$ は、単位体積あたりの磁気モーメント(磁石の強さ)のベクトル量:

$$
\mathbf{M} = \frac{1}{\Delta V} \sum_i \boldsymbol{\mu}_i
$$

ここで $\boldsymbol{\mu}_i$ は電子スピンや軌道運動による磁気モーメント。
単位は \[A/m] で、「その場所にどれだけ磁気が集中しているか」を表す。

### 🔹 磁化のない状態とある状態の違い

* ただの鉄(純鉄):磁区の向きがバラバラ → $\mathbf{M} = 0$
* 磁石:磁区の向きがそろっている → $\mathbf{M} \ne 0$

### 🔹 磁束密度と磁化の関係

外部磁場 $\mathbf{H}$、磁化 $\mathbf{M}$ に対して、磁束密度 $\mathbf{B}$ は:

$$
\mathbf{B} = \mu_0 ( \mathbf{H} + \mathbf{M} )
$$

### 🔹 電源がする仕事の導出

コイルに電流 $I$ を流して磁場 $H = nI$(アンペールの法則)を作るとき、磁束の増加に対して誘導起電力 $\mathcal{E}$ が発生する(ファラデーの法則):

$$
\mathcal{E} = -\frac{d\Phi}{dt}
$$

電源がする瞬間的な仕事率(電力):

$$
P = \mathcal{E} \cdot I = -I \frac{d\Phi}{dt}
$$

仕事の積分:

$$
W = -\int I \, d\Phi
$$

磁束 $\Phi = NAB$(巻数 $N$、面積 $A$)より:

$$
d\Phi = NA \, dB
$$

電流 $I = \frac{H}{n}$、巻数 $N = n\ell$ を代入して:

$$
W = -V \int H \, dB
$$

ここで $V = A\ell$(体積)

### 🔹 最終的な単位体積あたりの仕事

$$
w = -\int H \, dB
$$

ただし、

$$
dB = \mu_0 (dH + dM) \Rightarrow H \, dB = \mu_0 H \, dH + \mu_0 H \, dM
$$

よって:

$$
w = -\mu_0 \int H \, dH – \mu_0 \int H \, dM
$$

このうち、磁性体を磁化するために必要なエネルギー密度は:

$$
\boxed{w = \mu_0 \int_0^{M} H \, dM}
$$

### 🔹 まとめ

* 磁化 $\mathbf{M}$ とは、内部の磁気双極子の整列度を表す量
* 磁石は、磁区がそろっていて自発磁化を持つ強磁性体
* 磁性体を磁化するには、外部磁場に逆らってスピンをそろえる必要があり、
* 電源がする単位体積あたりの仕事は $\mu_0 \int H \, dM$ で表される

問題の回答(マクスウェルの方程式を利用)

## 🔷 磁性体を磁化するために電源がしなければならない単位体積あたりの仕事の導出

### 🔹 問い

磁性体を磁化するために電源がしなければならない**単位体積あたりの仕事** $w$ を導出せよ。

### 🔹 前提条件

* 磁性体内の磁場 $\mathbf{H}$ および磁化 $\mathbf{M}$ は一様。
* 磁性体は変形しない(機械的な仕事はゼロ)。
* 電源はコイルに電流を流して磁場を生じさせ、磁性体を磁化する。
* 電流は時間とともに変化し、磁場も変化する。

### 🔹 導出

#### ① 電源が行う仕事の基本式

電源がコイルに供給する**仕事率**(単位時間あたりのエネルギー)は、電場と電流密度の積として:

$$
P = \int_V \mathbf{E} \cdot \mathbf{J} \, dV
$$

ここで、マクスウェル方程式の一つより(時間変化のある場合):

$$
\nabla \times \mathbf{H} = \mathbf{J} + \frac{\partial \mathbf{D}}{\partial t}
$$

今回は静的な場を仮定するので:

$$
\frac{\partial \mathbf{D}}{\partial t} = 0 \quad \Rightarrow \quad \mathbf{J} = \nabla \times \mathbf{H}
$$

#### ② 磁場エネルギーとしての表現

磁場エネルギーの密度(単位体積あたり)は:

$$
u = \int_0^{\mathbf{B}} \mathbf{H} \cdot d\mathbf{B}
$$

体積 $V$ における全エネルギーは:

$$
W = \int_V \int_0^{\mathbf{B}} \mathbf{H} \cdot d\mathbf{B} \, dV
$$

よって、**単位体積あたりの仕事**は:

$$
w = \int_0^{\mathbf{B}} \mathbf{H} \cdot d\mathbf{B}
$$

#### ③ $\mathbf{B} = \mu_0 (\mathbf{H} + \mathbf{M})$ を用いる

この関係式を微分形に書き直すと:

$$
d\mathbf{B} = \mu_0 (d\mathbf{H} + d\mathbf{M})
$$

したがって:

$$
\mathbf{H} \cdot d\mathbf{B} = \mu_0 \mathbf{H} \cdot d\mathbf{H} + \mu_0 \mathbf{H} \cdot d\mathbf{M}
$$

これを $\mathbf{B} = 0$ から任意の状態まで積分すると:

$$
w = \mu_0 \int_0^{\mathbf{H}} \mathbf{H}’ \cdot d\mathbf{H}’ + \mu_0 \int_0^{\mathbf{M}} \mathbf{H} \cdot d\mathbf{M}
$$

このうち:

* 最初の項 $\mu_0 \int_0^{\mathbf{H}} \mathbf{H}’ \cdot d\mathbf{H}’$ は、真空中に磁場を作るためのエネルギー
* 後半の項 $\mu_0 \int_0^{\mathbf{M}} \mathbf{H} \cdot d\mathbf{M}$ は、磁性体を磁化するためのエネルギー

### 🔶 結論

したがって、磁性体を磁化するため**だけ**に必要な単位体積あたりのエネルギー(仕事)は:

$$
\boxed{w = \mu_0 \int_0^{\mathbf{M}} \mathbf{H} \cdot d\mathbf{M}}
$$

### 🔹 補足:線形媒質の場合

線形媒質では、磁化と磁場の関係が:

$$
\mathbf{M} = \chi_m \mathbf{H} \quad \Rightarrow \quad \mathbf{H} = \frac{\mathbf{M}}{\chi_m}
$$

であるため、これを上式に代入して積分すると:

$$
w = \mu_0 \int_0^{\mathbf{M}} \frac{\mathbf{M}}{\chi_m} \cdot d\mathbf{M}
= \frac{\mu_0}{\chi_m} \int_0^{\mathbf{M}} \mathbf{M} \cdot d\mathbf{M}
= \frac{\mu_0}{2\chi_m} M^2
$$

必要であれば、コイルの自己インダクタンスや熱力学ポテンシャルからの導出も別ルートで示すことが可能です。

アンペールの法則とファラデーの法則を用いた導出

## 🔷 磁化のために電源が行う単位体積あたりの仕事の導出

### 【目的】

磁性体をコイル内に挿入し、コイルに電流を流して磁場を発生させることで磁化を生じさせる。このとき、磁性体の磁場 $H$、磁化 $M$ は一様であり、かつ磁性体は変形しないものとする。
磁化を生じさせるために電源がしなければならない**単位体積あたりの仕事** $w$ を導出する。

### 【前提】

* コイルは長くて密に巻かれたソレノイドとし、内部の磁場は一様とする。
* コイルの巻き数密度(単位長さあたりの巻き数)を $n$、電流を $I$ とすると:

$$
H = nI \tag{1}
$$

* 磁束密度 $B$ は:

$$
B = \mu_0 (H + M) \tag{2}
$$

* 電流 $I$ をゼロから徐々に増加させて、磁化 $M$ をゼロから最終値まで増加させる。

### 【導出】

#### ① ファラデーの法則による電源の仕事率

磁束 $\Phi$ の時間変化により生じる誘導起電力 $\mathcal{E}$ は、**ファラデーの法則**により:

$$
\mathcal{E} = -\frac{d\Phi}{dt} \tag{3}
$$

電源はこの誘導起電力に逆らって電流 $I$ を流す必要がある。
したがって、電源が供給する瞬間的な電力(仕事率)は:

$$
P = \mathcal{E} \cdot I = -I \frac{d\Phi}{dt} \tag{4}
$$

この仕事率を時間積分すれば、電源が行う**全仕事** $W$ は:

$$
W = -\int I \frac{d\Phi}{dt} dt = -\int I \, d\Phi \tag{5}
$$

#### ② 磁束の表現と電流との関係

磁束 $\Phi$ は、巻き数 $N$、磁束密度 $B$、コイル断面積 $A$ により:

$$
\Phi = NBA \quad \Rightarrow \quad d\Phi = NA \, dB \tag{6}
$$

また、式 (1) より $I = \frac{H}{n}$、さらに $N = n\ell$(コイル長さ)を代入すると:

$$
W = -\int I \, d\Phi = -\int \frac{H}{n} \cdot NA \, dB = -HA\ell \, dB = -V H \, dB \tag{7}
$$

(ここで $V = A\ell$ は磁性体の体積)

したがって、単位体積あたりの仕事は:

$$
w = \frac{W}{V} = -\int H \, dB \tag{8}
$$

#### ③ 磁束密度 $B = \mu_0 (H + M)$ を用いて磁化の寄与を取り出す

$$
dB = \mu_0 (dH + dM) \quad \Rightarrow \quad H \, dB = \mu_0 H \, dH + \mu_0 H \, dM \tag{9}
$$

これを式 (8) に代入して積分すれば:

$$
w = -\int H \, dB = -\mu_0 \int H \, dH – \mu_0 \int H \, dM \tag{10}
$$

* 最初の項 $-\mu_0 \int H \, dH$:真空中に磁場を形成するためのエネルギー
* 後半の項 $-\mu_0 \int H \, dM$:磁性体を磁化するためのエネルギー

### 【結論】

したがって、磁化によって生じるエネルギー、すなわち**磁性体を磁化するために電源が行う単位体積あたりの仕事**は:

$$
\boxed{w = \mu_0 \int_0^M H \, dM} \tag{11}
$$

これは、磁場 $H$ に抗して磁化 $M$ を増加させるために必要なエネルギーを意味する。

もし磁性体がないコイルだったら、電源の仕事はどうなるの?熱になるだけ?

とても良い質問です。「**磁性体がない(=空芯)コイル**」の場合、電源が供給したエネルギー(=仕事)はどうなるのか、数式と物理的意味を **Simple MathJax対応形式** でわかりやすく整理します。

## 🔷 磁性体が存在しない場合のコイルと電源の仕事

### 🔹 前提:空芯コイル(磁性体なし)

* コイル内に磁性体が**存在しない** → 磁化 $M = 0$
* 磁束密度と磁場の関係:

$$
B = \mu_0 H
$$

* 巻き数 $N$、断面積 $A$、長さ $\ell$ のソレノイドを考える
* コイルに電流 $I$ を流すと:

$$
H = nI \quad \text{(ただし } n = \frac{N}{\ell} \text{)}
$$

### 🔹 電源が供給する仕事

磁性体がない場合でも、電流を変化させると磁束が変化し、それに対応する起電力が生じます。
**ファラデーの法則**と同様に、電源が供給する仕事は:

$$
W = -\int I \, d\Phi
$$

磁束は:

$$
\Phi = NBA = \mu_0 N A H = \mu_0 N A n I
$$

したがって:

$$
\frac{d\Phi}{dI} = \mu_0 N A n = L
$$

ここで $L$ は**コイルの自己インダクタンス**であり:

$$
L = \mu_0 \frac{N^2 A}{\ell}
$$

電源のする仕事(ゼロから電流 $I$ まで流す場合)は:

$$
W = \int_0^I L I’ \, dI’ = \frac{1}{2} L I^2
$$

### 🔹 この仕事はどこに行くのか?

* **抵抗がない理想コイル**なら、このエネルギーはすべて**磁場のエネルギー**になります。
* **実際のコイル**には抵抗があるので、次の2つに分かれます:

$$
\text{電源の仕事} = \text{磁場エネルギー} + \text{ジュール熱(抵抗損)}
$$

### 🔹 磁場エネルギーの密度と全エネルギー

空間中の磁場エネルギー密度(単位体積あたり)は:

$$
u = \frac{1}{2} \mu_0 H^2
$$

したがって、ソレノイドの体積 $V = A \ell$ における総エネルギーは:

$$
W_{\text{mag}} = \frac{1}{2} \mu_0 H^2 V
$$

これはちょうど先ほどの $\frac{1}{2} L I^2$ に一致します。

## ✅ 結論

* 磁性体が存在しない場合(空芯コイル)でも、電源は磁場を作るために仕事を行う。
* 抵抗がない場合、その仕事は**すべて磁場エネルギーに蓄えられる**:

$$
\boxed{w = \frac{1}{2} \mu_0 H^2}
$$

(単位体積あたりの磁場エネルギー)

* 実際のコイルでは、さらに**ジュール熱**としてエネルギーの一部が消費される:

$$
\boxed{W_{\text{total}} = \frac{1}{2} L I^2 + \int_0^t I^2 R \, dt}
$$

でも、磁場って消えてしまうんでしょ?保存できないから。磁場のエネルギーはどうなるの?

とても鋭い質問です!
おっしゃる通り、「磁場そのもの」は**電流が止まれば消えてしまいます**。
では、電流を止めたときに\*\*磁場のエネルギーはどこへ行くのか?\*\*を、具体的かつ数式付きで説明します(Simple MathJax対応)。

## 🔷 電流を止めたとき、磁場のエネルギーはどうなるの?

### 🔹 そもそも磁場エネルギーとは?

コイルに電流 $I$ を流すことで、磁場 $H$ が生まれます。
そのとき、磁場に蓄えられているエネルギー(体積あたり)は:

$$
u = \frac{1}{2} \mu_0 H^2
$$

または、コイルのインダクタンス $L$ を使えば:

$$
W = \frac{1}{2} L I^2
$$

### 🔹 電流を止めると磁場もゼロになる

すると、エネルギー密度 $u = \frac{1}{2} \mu_0 H^2$ もゼロになります。
**磁場のエネルギーは消えるのではなく、「変換」される**のです。

## ✅ どこへ変換されるのか?

### ケース①:コイルに抵抗 $R$ がある場合

電流が減少するとき、**自己誘導**により起電力が生じます:

$$
\mathcal{E} = -L \frac{dI}{dt}
$$

この電圧により、**残りの電流が抵抗を流れ、ジュール熱を生じます**:

$$
P = I^2 R
$$

最終的に:

$$
\boxed{
\text{磁場エネルギーはすべて熱に変換されて消える}
}
$$

### ケース②:超伝導コイル($R = 0$)

* 電流が永遠に流れ続ける(理想的には)
* 磁場も消えない → **エネルギーはずっと磁場として保持される**

(だから、MRIなどでは超伝導磁石が使われる)

### ケース③:開放端(コイルのスイッチを急に切る)

* 突然電流を遮断 → 起電力が**非常に高くなる**
* スパーク(放電)や誘導電圧により、**放電・電磁波として放出**

このときの現象を:

$$
\text{フライバック(flyback)現象}
$$

とも呼び、リレーやトランスでは重要な設計要素になります。

## ✅ 結論

> 💡 磁場エネルギーは「消える」のではなく、「変換される」。

| 状況 | エネルギーの行き先 |
| ———- | ——————- |
| コイルに抵抗あり | **ジュール熱**(完全に熱になる) |
| 超伝導コイル | **磁場のまま保持される** |
| 電源切断・スイッチ断 | **スパーク、電磁波、放電** になる |

### 🔹 数式でまとめる(Simple MathJax対応)

$$
W_{\text{mag}} = \frac{1}{2} L I^2
$$

$$
\text{電源OFF後:} \quad W_{\text{mag}} \longrightarrow \int_0^{\infty} I(t)^2 R \, dt
$$

または、非接触系では:

$$
W_{\text{mag}} \longrightarrow \text{電磁波エネルギー} + \text{スパークなど}
$$

「磁場」って、エネルギーがため込まれた状態なの?

はい、まさにその通りです。
「**磁場は、エネルギーがため込まれた状態を表す**」と理解するのはとても正確で、本質的な捉え方です。

## 🔷 磁場は“力の場”であり“エネルギーを保持する場”

### ✅ まず、直感的に言うと…

電流を流すと磁場ができ、
その磁場は「**物体に力を与えられる**」し、
また「**エネルギーを蓄えている**」とも言えます。

つまり、磁場は:

> **空間の中に、ある種の“張力”や“圧力”のようなものが存在する状態**
> → それが、エネルギーとして機能する

## 🔹 磁場に蓄えられるエネルギー(Simple MathJax形式)

磁場 $H$ によるエネルギー密度(単位体積あたりのエネルギー)は:

$$
u = \frac{1}{2} \mu_0 H^2
$$

または、磁束密度 $B$ を使うと:

$$
u = \frac{B^2}{2\mu_0}
$$

* $\mu_0$:真空の透磁率
* 単位は \[J/m$^3$](ジュール毎立方メートル)

### 🔹 この式が意味すること:

> 空間の中に磁場が存在すると、**その空間自体がエネルギーを持つ**。
> 電流を流して磁場を作ったとき、そのエネルギーは空間に“ため込まれる”。

## ✅ では、どんなときにそのエネルギーが現れる?

1. **電流を止めると、磁場が変化 → 誘導起電力が発生 → 他にエネルギーが伝わる**
2. **鉄片を近づけると引き寄せられる → 力学的エネルギーに変換される**
3. **変圧器やモーターでは、磁場のエネルギーが電気や運動エネルギーに変換される**

## 🔹 電場と同様、磁場も“エネルギーを運ぶ媒介”

電磁場は、エネルギーの**貯蔵庫**であると同時に、**伝送経路**にもなります。

特に:

$$
\text{エネルギーの流れ} = \text{ポインティングベクトル} \quad \mathbf{S} = \mathbf{E} \times \mathbf{H}
$$

これは、電場と磁場が組み合わさると、**空間中にエネルギーが流れる**ということを示す量です。

## ✅ 結論

🌌 **磁場は、空間にエネルギーが「宿っている」状態を表す物理量です。**
>
> それは、静かにためられていることもあれば、外部に放出されて力を与えたり、熱になったりもします。

今の話って、リニアモーターカーと何か関係ある?

はい、あります!
むしろ、**リニアモーターカー(超電導リニア)こそ、「磁場にエネルギーがためられ、放出される」仕組みを超高度に応用した装置**なんです。

## 🔷 リニアモーターカーと磁場のエネルギーの関係

### ✅ 超ざっくり言うと…

> リニアモーターカーは、**磁場を発生させ、その力で車両を浮かせ、推進する**。
> そのために、大量の電流を使い、空間に**磁場エネルギーをためて**、それを**力学的エネルギー(浮上・加速)に変換**している。

## 🔹 仕組みを順を追って解説

### ① 浮上:磁場の反発・吸引によるリフトアップ

* 車体には**超伝導磁石**(冷却された強力な電磁石)が搭載されている
* 地上側(軌道)には**コイル**があり、そこに電流を流すことで磁場を発生させる
* 磁石とコイルの磁場が**反発・吸引**することで車体を**浮上**させる

👉 これは「**磁場にためたエネルギーが力に変換される**」典型例!

### ② 推進:電磁誘導で「後ろから押す」

* 地上コイルに**進行方向に応じた電流**(交番電流)を流すと、\*\*移動する磁場(磁場の波)\*\*ができる
* 車体の磁石はこの波と相互作用して、**引っ張られるように前に進む**

👉 これは、**磁場のエネルギーを“運動エネルギー”に変換している**

### ③ エネルギーの流れ=磁場が“媒体”

実は、磁場は単なる“道具”ではなく、**エネルギーをやりとりする舞台そのもの**なんです。

先ほど出てきた「ポインティングベクトル」:

$$
\mathbf{S} = \mathbf{E} \times \mathbf{H}
$$

が示すように、**磁場 $\mathbf{H}$** があって、電場 $\mathbf{E}$ と組み合わさることで、**空間中にエネルギーが流れる**。

## ✅ 結論:リニアモーターカーと磁場のエネルギー

| 現象 | 磁場のエネルギーとの関係 |
| — | ——————————- |
| 浮上 | 磁場にためたエネルギーが**反発・吸引の力**に変換される |
| 推進 | 磁場が変化することで、**前に進む推力**が生じる |
| 超伝導 | 抵抗ゼロで**エネルギーを磁場のまま保持**できる(冷却必要) |

つまり、

> 🧲 **リニアモーターカーは、「磁場にためたエネルギーを自在に操って、物体を浮かせ、動かす」ための巨大な実験装置みたいなもの。**