自然数の集合の濃度と整数の集合の濃度が等しいことの証明

無限集合の濃度は、有限集合の個数の拡張ですが、無限の不思議として、部分集合と全体の集合の濃度が等しいという不思議なことが生じます。例えば整数の集合と2の整数倍の集合(偶数の集合)を考えると、直感的には両者の個数が同じとは思えない(偶数のほうが半分の濃度)のですが、濃度が等しいことの定義、すなわち一対一対応がつくということを頼りに比較すると、濃度が等しくなります。

同様に、自然数と整数の個数を考えると、数直線上では整数は正負両方向に伸びているのでなんとなく自然数の倍くらい整数がありそうですが、一対一対応がつくということでいうと濃度が等しいことが証明されます。

栗山憲『論理・集合と位相空間入門』の49ページに証明があります。証明のためにガウス記号というものが説明されていました。自然数と整数との1対1対応が存在することを示せばよいわけです。そこで、f(n) = (-1)^n [n/2] を考えます。ここで[ ]がガウス記号で、中身の数を超えない最大の整数を意味すると決めています。証明は、全射であることをまず示し、次に単射であることを示し、両者合わせて全単射(1対1対応)が言えた、とするものです。

自分は式の読み方を勘違いして、ガウス記号が右辺の全体にかかると勘違いしたため、整数0の場合が考えられていないんじゃないかと悩んでしまいました。つまらない勘違いですが、なぜかすぐに気づかなかったです。これ以上ないくらいにわかりやすく書かれた教科書ですが、自分はこの手の勘違いが多くて独習しているとドツボにハマることが多々あります。