アートとサイエンス

書籍メモ

 

書籍メモ

  1. 高校生が感動した物理の授業 為近和彦 著 PHP新書 PHP研究所 2014年9月1日: 内容はオーソドックスな高校の物理で、力学、熱力学、波動、電磁気学、原子物理学の主要なトピックが。非常にすっきりとわかりやすい言葉で説明されている。高校生、大学受験生、高校物理を学び直したい大人にとって、とても有難い本。
  2. これが物理学だ! マサチューセッツ工科大学「感動」講義 ウォルター・ルーウィン 著 東江一紀 訳 文芸春秋 2012年10月15日: インターネットでもウォルター・ルーウィンの授業の動画を見ることができるが、それが書籍されたもの。理系の人間が読めば文句なしに面白い。授業を受け持つ全ての大学教員に読んで欲しいとも思う。彼は毎回の講義のための練習を徹底的に行うんだそうだ。つまり、誰もいない教室で一人で練習をするというわけだ。大学生を楽しませる完璧な授業を目指してそこまでしている教員が日本の大学にはたして何人いるだろうか?綿密なリハーサルに裏打ちされた即興的な講義なので、学生に感動を与えることができる。ルーウィンは教育のためだけの教員ではなくて、実はX線天文学の分野で非常に大きな成功を収めた人だということは、この書籍で初めて知った。
  3. ぼくらはガリレオ 板倉聖宣 著 岩波現代文庫 岩波書店 2011年1月1日: ガリレオが行った研究を紹介。ガリレオの著書が対話形式だったのに倣って、この本も先生と4人の中学生による対話形式を取り入れて話を展開させており、自分もその会話に混ぜてもらった気分で読み進められるところが面白い。子供向けのスタイルで書かれているが、力学の内容なので、高校で物理を多少勉強した生徒に一番面白みが伝わるのではないか。もちろん科学史やサイエンスが好きな大人も非常に楽しめる。科学史上最も偉大な科学者の一人であるガリレオ・ガリレイの思考プロセスを可能な限り資料の基づいて追ったものであるので、これから科学者を目指す若い人にとっても非常に参考になるところがあるのではなかろうか。
  4. 変体仮名とその覚え方 板倉聖宣 著 仮説社 2008年3月1日: ときどき和食屋さんとか(?)で見かける漢字のようなカタカナの変形のような不思議な文字、あれが変体仮名と呼ばれるものだったんですね。変体仮名というのは、ひらがななんですが、音が同じさまざまな漢字を崩したものが当て字として使われているものです。万葉仮名であれば、まだ漢字がその原形をとどめているのでとっつきやすいのですが、変体仮名は漢字が草書体などでくずれているため、なかなか読めません。身近な例としては、おそば屋さんで、生そばと書くときに、そ=楚、は=者という漢字を崩したものをひらがなとして用いられています。歴史的な資料をひもときたい時には、変体仮名を知っていると便利なので、これを機会に是非覚えましょうという主旨の本です。大人になってからアラビア文字を覚えなさいと言われたみたいな抵抗感がありますが、なにしろ仮説授業の板倉聖宣氏が著者なので、説明のスタイルも仮説授業っぽくて、読み進めやすいのが救いです。
  5. 電子レンジと電磁波 ファラデーの発見物語 サイエンスシアターシリーズ電磁波をさぐる編② 板倉聖宣 著 仮説社 2006年8月10日: どこの家庭の台所にもある電子レンジを電磁波発生器としていろいろな実験をしてみせる内容。金属が電磁波を通さないこととか、ミニアンテナに豆電球をつないだものを電子レンジに入れると光らせることができるとか、いろいろな実験を通して電磁波を感覚的に理解しようという試み。子供が一人で本書の内容を実践するのは危険すぎるので止めたほうがいいと思うが、捨ててもいい電子レンジがあまっていれば、大人と一緒に、あるいは大人が楽しみと勉強を兼ねてやってみるといいかも。
  6. 電磁波を見る テレビアンテナ物語 サイエンスシアターシリーズ電磁波をさぐる編① 板倉聖宣 著 仮説社 2006年4月10日: ストローを紙袋でこすって静電気を生じさせたものを2本用意して反発しあう力を感じてみるとか、電線を巻いてコイルをつくって電池をつなぐと磁石になることを確かめる実験とか、電流計につないだコイルの間に棒磁石を出し入れして電流が誘導されることを確認してみるとか、金属のレールの上を丸い磁石を転がすとゆっくり落ちる実験とか、東京タワーの真下にあるアンテナは真上(すなわちタワーのてっぺん)を向いているとか、いろいろ面白い話が多かった。電磁波を感じ取る実験は、おもちゃの送信機、受信機である「ピッピーポケベル」というものを使った例が紹介されているが、これがすでに販売中止になっているそうで、そこが惜しい。ピッピーポケベルに替わるも電子キットか何かをエレクトロニックショップかおもちゃ屋さんで探してみる必要がある。
  7. 未来の科学教育 板倉聖宣 著 国土社 1966年11月10日: 50年以上も前に書かれているにも関わらず、これこそこれからの理科教育に取り入れられるべきものなんじゃないかと思わせる内容で、日本の学校教育を変革させることがいかに難しいかを逆に実感させられた。著者が提唱する「仮説実験授業」の実践結果の紹介がメインの内容で、それを踏まえて学校における理科教育が論じられている。理科教育に関わる小中学校や高校の先生には是非読んで欲しい内容だが、大学の先生も考えさせられることが多いはず。なにしろ大学生というのは、小、中、高と学校で理科を勉強してきたなれの果てであるわけだから、日本の初等、中等教育における理科教育がどれくらい成功しているのかどうかを一番実感できる立場にいるわけだから。

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