科学や医学の研究に携わる人にとって、論文を英語で書くだけでなく、日本語で文章を書く機会は非常に多いものです。学会発表の要旨、和文論文、和文総説、和文解説記事、研究助成金の申請書、報告書、所属機関での研究報告書、一般向けの解説記事、プレスリリースの文章などなど。対象となる読者が違えば、書く日本語の文章も違ってきます。どれくらいの予備知識を前提とするのか、どれくらい堅い表現でよいのか、どれくらい噛み砕いた説明をすべきなのか。
科学的な文章には特有の条件というものがあります。論理的であること。思わせぶりな構成にせず単刀直入に本題にはいり結論を示し理由を示すことなどです。
いっぽう、それ以前の話としてきちんとした日本語の文章の作法というものもあります。文頭と文末では呼応関係がきちんとあること、文の途中で主語が変化しないことなどなど。
日本語の文章の書き方・みがきかたの本
読本（とくほん）というタイトルの書籍がこれほど多いとは知りませんでした。有名な文学者もこぞって書いています。文学寄りの内容の本も多数あるため科学的な文章の書き方の参考になるかどうかはわかりません。文学と科学では文章の作法が逆のこともあり、むしろ悪い例にしかならないかもしれません。
因京子『看護現場で役立つ 文章の書き方・磨き方 第2版: 論理的に伝える技法 看護現場で役立つ 文章の書き方・磨き方 第2版: 論理的に伝える技法 』 2023/8/16 日本看護協会出版会
三島 由紀夫『文章読本』新装版 (中公文庫 (み9-15)) 2020/3/19 中央公論新社
花村 太郎『思考のための文章読本』 (ちくま学芸文庫) 文庫 – 2016/9/7 筑摩書房 Kindle版 (電子書籍) ￥1,045
本多 勝一『【新版】日本語の作文技術』 (朝日文庫) 2015/12/7 朝日新聞出版
この本は自分が日本語の文章の書き方が下手なことを指摘され改善のために勧められた本です。句読点の打ち方などかなり初歩的なことから議論されています。
川端康成『新文章読本』（新潮文庫）2013/6/14新潮社 Kindle版 (電子書籍) ￥436
鶴見 俊輔『文章心得帖』 (ちくま学芸文庫) 2013/11/6 （キンドル無し）
井上 ひさし『日本語教室』 (新潮新書) 2011/3/17 新潮社 Kindle版 (電子書籍) ￥660
辰濃 和男『文章のみがき方 (岩波新書) 』2007/10/19 （キンドル無し）
井上 ひさし『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』 (新潮文庫) 2001/12/26 新潮社
高橋 昭男『短く書く仕事文の技術―削り方・磨き方・仕上げ方』 (講談社プラスアルファ新書) 2001/12/1 講談社
轡田 隆史『うまい!と言われる文章の技術―実例で読む、文章の考え方・磨き方』1998/4/1 三笠書房
加藤 典洋『言語表現法講義』 (岩波テキストブックス) 1996/10/8 岩波書店 Kindle版 (電子書籍) ￥2,970
谷崎 潤一郎『文章読本』 (中公文庫) 1996/2/18 中央公論新社
三島 由紀夫『文章読本』 (中公文庫) 文庫 – 1995/12/18 中央公論新社 →2020年新装版
丸谷 才一『文章読本』 (中公文庫) 1995/11/18 中央公論新社
轡田 隆史『顔のある文章の作り方―学生の実作による文章教室』 1988/2/1 高文研
井上 ひさし『私家版 日本語文法』 (新潮文庫) 1984/9/27 新潮社 Kindle版 (電子書籍) ￥485
中村 真一郎『文章読本』（新潮文庫）1975/1/1 文化出版局；
島野 功緒『もっと上手に書ける―例文で教える文章の磨き方』1981/1/1 日之出出版
渡辺 利夫・渡辺 弘子『文章の磨き方 文章の磨き方』 1997/5/1 東洋経済新聞社